(二)
彼と出会ったのは、考えてみたら、もう一〇年も前になる。学生時代のことだ。
当時、私は安政義塾大学の経済学部に入学したばかりだった。中学・高校とソフトボールをやっていたが、大学に入ってからは新しく何かを始めたいと思って、テニスサークルに入った。
テニスを口実にして飲み会を活動の中心に据えたサークルではなく、大会に向けて練習もする、でも部活動ほど厳しく激しくもないサークルに入った。
初めて振るラケットは、ソフトボールのバットやグローブとは違った新鮮味があり、楽しかった。そして、ゴールデンウィークに軽井沢で行われたインカレの大会出場に向けての合宿で、彼と出会った。
(続く)
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