第26話
お宝を発見したので俺たちは速攻で魔法陣に乗り神殿に向かった。
ゴーレムたちの働きで罠はほぼないであろうということもすでに確認済みだ、俺たちはせっせと神殿を進む。
神殿に来た時点で先行させていたリザードマンメイジとサゴンゴーレムとも合流し護衛として一緒に移動する。
そして目的地である小部屋の手前 、広いドーム 状の空間に続く廊下を歩いている時である。
その空間に出る手前で廊下の壁に突然光る文字が現れた。
「おいっこれなんだ?」
「それは……生きてる者がここを通ると現れるように仕掛けられていたものじゃないか? 魔法による代物だろう」
なるほど魔法はそんな仕掛けも作れるのか。
生き物じゃないゴーレムたちが通っても反応しなかったのはそういう理屈かもな。
ちなみにその文字もまた日本語である、 内容は と言うと『この先は欲望の間』と記されている。
「随分とまぁシンプルな名前だな、ミロットなんか この先に仕掛けがあるみたいだ、ゴーレムたちに反応しなかったとはいえ気をつけておいた方がいいぞ」
「 分かった、私はそんなホイホイと罠にかかったりはしない」
情報を共有した俺たちは『欲望の間』とやらに入った、その瞬間さっきまで 何もなかった 空間に 様々な物が突然出現した。
様々な物で溢れる空間、俺の目の前は向こうの世界では買うことができなかった新作のゲームに漫画 にテーブルトークRPGのシリーズ本あるいはエ……大人の本や漫画、後はお芋のチップスだとか大好物だったカレーやカツ丼などの食べ物などが宙にふわふわ と浮きながら次々と現れた。
さっきの言葉を読めた俺からすればいかにもな感じのものである。
「ミロットここにあるもんには絶対手出すなよ、どうせろくなことは起きやしない、分かったか?」
「まっまさかあれは!?」
まさかじゃない、やたらと驚いてるので見るとミロットの目の前には様々な書物、あるいは用途不明な魔道具的なものがふわふわと浮いていた。
その中に特に古い書物があった、ミロットはそれをガン見していた。そしてあろうことが手を伸ばしやがった。
「おいっ! バカやめろ、ここにあるもんに触れるんじゃない、何が起こるかわかんねえんだぞ!?」
「しかしだなこれはかの有名な…」
そしてミロットのバカは本当に指先が触れやがった、その瞬間、周囲にふわふわ浮いていた俺たちが欲しいと望む何かは真っ黒いヘドロのようなものへと姿を変える。最悪だな。
それらは俺たちに襲いかかってきた。
「ゴーレムクリエイト!」
俺がクリエイトしたのは上半身は猿、下半身はタコのあのバイラスのゴーレムである。神殿の床を素材にしたので土色の他のゴーレムとは違い純白のお猿ゴーレムとなった。
大きさはこの空間で暴れられるくらいの大きさに 調節している。
無論それでもでかいがな、無言のパイラス ゴーレムがタコ足を暴れさせる。黒いヘドロみたいなやつはバンバン蹴散らされていく。
護衛に連れて来てたリザードマンゴーレムとサゴンゴーレムも攻撃魔法で敵をなぎ払う。
さらに神殿を探索させていたスネークゴーレム軍団もこの空間に流れ込む、圧倒的な物量の力で訳のわからない敵だか魔法の罠か知らんやつをぶっ潰した。
「ミロット、お前あんなこれ見よがしな罠に手出すんじゃねえよ」
「すまない、つい…… 」
「ついじゃねえし、あんなもんお前…どう考えたって手出したらやべえってわかるだろ? 何考えてんだよ…まあ助かったから良いけどさ」
とりあえず俺は奥の小部屋へ向かう、ついてきたミロットと話の続きをする。
「ラディアは良く我慢出来たな、お前の回りにもお前の欲望を刺激する物が溢れていただろうに」
「……さっき『欲望の間』って書いてあったけどな、冒険者なんてやってると欲望なんてのには本当に果てがないってことがよくわかるんだ、だから自分でほどほどのところで区切りつけとかねぇとその欲望ってやつに殺されるんだよ」
「そうか冒険者も錬金術師もそういうところは似たようなものなのかもな」
錬金術師か、確かに賢者の石だとかさ黄金がどうのとかって、確かに欲望に飲まれたやつの逸話みたいなものが向こうの世界でもいくつかあったな。
「分かってんなら今後気をつけろよ、巻き込まれて俺まで死にたくはねぇ」
「分かった、助けてくれたことに感謝するラディア」
「………分ければいいんだよ」
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