第12話
「ふうっごちそうさまでした」
リザードステーキを完食した、淡泊な味だが結構うまかった、今度また来よう。
お金を払い飯店を後にする、 空を見上げると夕方らしく空はオレンジ色に空が染まっていた。
さすがにこの時間からまた冒険者ギルドに行くのもあれなので今日は残りの金で宿に泊まることにした。
宿の場所は事前に調べてある、3階建ての木造建築の建物だ。俺は迷うことなく中に入った。
カウンターにいるおばちゃんに声をかける。
「こんにちは宿はまだ開いてますか?」
「空いてるよ、一人かい」
「はい 一人で旅をしてるものです」
俺の姿をマジマジと見るおばちゃん。
「なるほどエルフね、わかったじゃあ案内するからついてきなさい」
俺はお金をおばちゃんに渡す、おばちゃんは階段の方に向かって歩き出した。
おばちゃんの後についていく、3階まで階段で上がると突き当りにある個室に案内された。
「ここでいいかい」
「十分です」
「そうかい、夕飯はどうする?」
「もう食べてきました」
「そうかい、それじゃあアタシは戻るよ」
おばちゃんは1階に戻った。
部屋を見る、1人部屋なのでそこまで広くはない しあるのは机とテーブル、それとベッドくらいだ。
だがそれくらいシンプルな方が俺はいい、お腹もいっぱいなのでもう寝ることにするか。
ベッドに入る、そこまで柔らかくもふわふわという感じではないな、まあ異世界のベッドだしこんなもんなんだろう。
ベッドに入りしばらくゴロゴロしていると睡魔が襲ってきた。
おやすみ。
そして翌日の朝。
俺は目を覚ます、おばちゃんに挨拶をして宿を出た。
次はやっぱり冒険者ギルドに行って早速依頼を受けることからだな、残金もほとんどないしまた稼がなくちゃならない。
まだまだ買い足したい物が沢山あるのだ、お金は必要なのである。
ベッドからおりて着替える、ちなみに昨日は下着姿で寝た。せっかく買った服が汚れるのを阻止したのだ。
そして再びの冒険者ギルド、受付カウンターには昨日の金髪ボブカットのお姉さんがいたので早速話しかける。
「おはようございます」
「おはようございます、あっ君は昨日の…」
「ご無沙汰してます、早速依頼を受けに来ました」
「そうなのね。それじゃあ向こうのクエストボード を見に行ってちょうだい、そこから自分がクリアできそうな依頼を探して、依頼表をここまで持ってきて」
「分かりました」
お姉さんの案内に従って俺はクエストボードとやらを見に行く。
木製の大きなボードには何十枚もの紙が張り出されていた。
紙を見るのはほとんどが冒険者である、ふふふっどいつもこいつも大した学もなさそうな顔をしてるくせにいっちょ前に物を考えてる仕草をしてますな~。
なんかこういうのゲームの世界に入ったみたいで悪くないな。
まさに今っ冒険者してますって感じがいい、にしても俺はチビエルフなのでなかなかクエストボードが見えないぞ。
他の冒険者たちの隙間を縫うように前に進む、そしてなんとか先頭の方に顔を出した。
クエストボードの方を見るがやっぱりこの身長だと上の方は見えないな。
まあいいや、とりあえず確認できるやつだけ確認してみよう。
正直ゴーレムの力を借りればモンスター相手にでも戦える自信はある、問題はゴーレムを操れることをあまり知られたくはないということだ。
この世界でゴーレムやそれを操れる魔法ががどういう立ち位置にあり、どれだけのレア度なのか知らない俺だ。
下手に目立つと禄でもないことが起こる可能性の方が高い、だから基本的に俺はソロで冒険者をやってみようと思う。
無理そうなら仲間を探すけどな、その時はその時だ。依頼表を見るがやっぱりここは荒野にある町だからか採取依頼というのはそこまで多くない。
あるのはモンスターを討伐するばかり依頼だ、報酬もそれなりに良い、やっぱりモンスターを討伐依頼を受けるべきか?
しかし昨日の飯屋での冒険者たちの話を思い出した。
なんか危険なモンスターこの辺りにいるっぽい話をしていたのだ。
俺にはゴーレムがいるとは言ってもやはり異世界 初心者のチビエルフでしかない、調子に乗ればすぐに死ぬ可能性もある、ここはもう少し安全策をとってみるか。
「よしっコイツにするか……」
「そいやぁああーー!」
「!?」
ふふのふ~甘いぞ駆け出し感丸出しの若造冒険者よ、依頼は早い者勝ちさ!
俺は依頼票を先に取られそうだったので本気ダッシュとジャンプのコンボで横取りする。
俺は数少ない採取の依頼の紙をクエストボードから取って受付カウンターに戻った。
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