第22話 終点


この道の先には何も無いよ

森の奥で 黒猫は言った

そんなの分からないじゃないか

行ってみないと 見てみないと

そう言って私は 進んだ

黒猫は 馬鹿にしたように

鼻を鳴らして そっぽを向いた


森をぬけた先は 海だった

崖だった 潮風の匂い

向こうからやってくる雲と

切れ間を縫って覗く 太陽

もうじきに 日が暮れる 夕焼け

夜になれば 月が見守る光

子守唄を囁くように歌う 星


ああ でもどこか寂しい 寂しい

近くもなく 遠くもない

温もりを感じない 月や星じゃ

だから 涙が出る前に その前に

きらきらと ゆらゆらと誘う水面に

包まれるように身を委ねて


魚とお喋りしよう 海藻と踊ろう

木々や草々に別れを告げて

空の青に 藍に 紅に飛び込んで

自由に羽ばたく鳥に見守られて

柔らかで強かな風に 吹かれて

きっと今までの何時よりも

自然を 地球を 私を感じて


もう何も 私を拒まずに

還ろう 生まれた大地へ

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