ピンクのパールをつけたクマ
リチウムの花が赤く咲いている
円く開かれた舞台と満月の夜
遠方より来る海鳴り
低く低く棚引いて、静寂を生む
つがいの蝶
輪舞輪舞インフィニの軌道
瑠璃の燐光を虚空に残し
始まりの合図に早蕨が伸びあがる
鈴蘭が鳴る
囁きのような花火
姿の見えぬ水音
月光が屈折し、真白い虹が瓦礫にかかる
ビルの隙間よりヤモリが這い出で
蜘蛛糸を編んで皆を飾り付ける
ボルトの道化師
コウモリの手拍子
風は歌う
アンドロイドの求愛
影法師が舞う
月の雫の酒に酔い
蛇の輪を潜れ
赤煉瓦の上を跳べ
闇夜に溶けよ
火の粉を飛ばせ
歌えや歌え
紫色の夜の底
踊れや踊れ
赤く咲いたリチウムの花
さあ
トリを務めますは、ピンクのパールをつけたクマ
何処より迷い来たりしか
黄色い布地を手で叩き
ミズナラの木の根元から
円く開いた月光の舞台
回るぞ
回るぞ
一回、二回、三回回って両手で跳ねて
宙に浮かんだその刹那
蔦に絡まりぶらりと浮いて
胸元のパールが零れて落ちた
小石にぶつかり砕けて散って
虹は消えて
風は止んで
赤い花弁は燃え尽きて
動物たちは陰に帰り
草木は眠り
静寂の中に吐息は消えて
クマのぬいぐるみだけが、ぶらぶらと揺れていた
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