健康第一
戸画美角
序幕
それが人体に対して有害であるという研究結果が発表されたのは、それが発明されてから200年以上も経過した22世紀初頭のことであった。
その昔、人類は遠く離れた相手とコミュニケーションをする手段を持ち合わせていなかった。
それを可能にする技術が最初に発明がされたのは19世紀後半のことで、複数の研究者がその特許をものにするために研究を進めていたが、最終的に特許を取得して歴史に名を残すことになったのはグラハム・ベルであった。
それから100年以上経った21世紀の初頭に、A国において電話の発明者はメウッチであるという決議がされたが、未だに多くの人は発明者をベルとして認識していた。
閑話休題。
そんなわけで『電話』が発明され、人々の生活に大きな変化を与えた。
しかし、技術の進歩とは恐ろしいもので、19世紀も残りわずかというところで無線通信という技術が発明された。今まで情報を送信するためには物理的なケーブルが必要だったのだが、自然界に存在している『電磁波』が発見されたことで、それを利用することで物理的なケーブルさえも不要になった。
無線通信はラジオから始まり、テレビ、衛星放送、といった形で人々の生活に入り込んできたが、もっとも多くの人々の生活に影響を与えたのは携帯電話の登場といえるだろう。インターネットの普及も相まり、21世紀の初頭くらいになると、先進国のほとんどすべての人が携帯電話を持つようになった。
それはもはや生活必需品であると人々のあいだで認知されるようになり、21世紀も後半になると後進国においても殆どすべての人が持つようになった。割合でいうと地球全体の人工の99.5%ほどの人が携帯電話を所持している計算になり、それは事実上全員持っているといって過言ではない数字であった。
そのような状況であったが故、その研究発表が世間に与えた影響は凄まじかったであろう。
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