第26話報酬

「哀れな屍よ、神の安らぎを受け入れたまえ」


「死こそが汝における安らぎ、救いである」


ノアを中心に魔法陣が展開される。白魔術でも黒魔術でもない、見たことのない術式が展開されていた。


「神の代行人に与えられる聖武器、それを召喚する為の術式なんですよ」


コバヤシがノアを見ていると、サーニャが不意にそう口にした。


「ああ、すまない。戦闘中だったな」


「いいんですよ。さあ、あのリッチーを倒しましょう!」












_____気に入りませんね。


彼女、代行人ノアは詠唱をしながら苛立っていた。


あの冒険者はせっかく捉えた悪魔を逃がした男だ。とすぐに気づいたからだ。


私は仕留めようと思った相手は必ず仕留めてきた。


・・・まあいいでしょう。


「現れよ。神の武器、グラムよ!」


それはあの時の大鎌だったが、刃先が怪しく紫色に光沢を帯びていた。


「・・・すごい・・!」


後方の初めてグラムをみた白魔術師達が声を上げる。


「・・・邪なものを切り裂け・・・大鎌グラム・・・!」


解き放たれた魔力の刃がドラゴンゾンビを両断し、玉座のスペースが大きく空いた・・・!


「いくわよ!ホーリーショット!!」


リーシャはマスケットを構え、


「ギギ・・・!」


玉座のロッドを捉えていた・・・!


「やったわ!」


「さすがだな」


術式を失った時、崩れるようにリッチーは溶けていった。


「やっと終わったか・・・・」


キツイ戦いだった。報酬がもらえないのは正直わりにあわない依頼だった。


コバヤシは大きくため息をつき、ヒールポーションを口に含んだ。














「もうタダ働きはまっぴらだ。帰ろう、スラ子」


「うん!」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る