第23話 社交界デビューっ
今日は王家主催の社交界デビューの日。
10歳になる全ての貴族の子供達が王様にご挨拶する日なんだ。
お母様やお屋敷のみんながひと月も前から張り切ってるせいで、ちょっと僕はげんなり気味だけどね。
でもワンコのユア様やお茶会メンバーも一緒にデビューするから心強いよ。
彼らに会うのもほんと久しぶり。夏の鬼ごっこ以来かな?
うん、何だか楽しみになってきた!
それに今夜はお兄様がお帰りになるから、もしかして秘密のレッスンあるかもしれないし。
あるといいなぁ。ふふ。
ふぁ、凄い!王宮は初めて来たけどとっても豪華絢爛だよぉ。
王様とのデビューのご挨拶は、とっても緊張したけど、上手に出来たと思うよ。
お父様とお母様、それにお兄様とご一緒だったから思ったより緊張しなかったし。
僕が王様にご挨拶した時、急に会場が静かになったから、何かとんでもない失敗したのかと思って焦っちゃった。
でも隣に居たお兄様がにっこり微笑んでくれたから、僕はホッとしてお兄様にありがとうって微笑み返し。
左前の方でゲホゲホ咳き込んでたけど、あれって王子様かなぁ。風邪かしら?お大事にね、王子様。
あれ?確か人魚を目撃したのって第三王子じゃなかったっけ?
何かこっちを凝視してる気がするーっ。やばい!早く御前を立ち去りたいよ~。
ご挨拶が終わったら僕はお役御免でーす。
僕よりご挨拶が早く終わっていたユア様は、相変わらず僕の側にピッタリ張り付いくるし。
艶々の短い黒髪を撫でつけて深い霧のようなアンニュイな色味の鋭い瞳のユア様は、たしかに狼と称される様な格好良さがあるね。
ちょっと見ないうちにますます背も伸びてるしー。
タクシーム侯爵家は高身長の家系だからきっとどんどん大きくなりそう。ちぇっ。
「ユア様、今日はとっても決まってますね?夏の鬼ごっこ以来お会い出来てなかったから、お会い出来て嬉しいです。」
僕に撫でてもらいたい様な顔をして薄ら顔を赤らめてるユア様が相変わらずのワンコ仕様だった。はは。
僕のワンコは可愛がってあげなきゃねって、ユア様を見上げてニコニコしながらほつれた髪を直してあげたら、ユア様は真っ赤になって固まっちゃうし、どこかで悲鳴が聞こえるし。いや、唸り声も?
あれ?事件かな?
僕がキョロキョロしてると、顔馴染みのお茶会令息達がわらわらと僕に挨拶しにきてくれた。
みんな今日はほんとキメキメだなぁ。
初めてお会いするご令息や、御令嬢も多かった。
挨拶は出来たけれど、お話しようとするといつメン達(いつものメンバー)が邪魔しにきてお話出来なかったよ。
申し訳なくてごめんなさいって気持ちを込めて微笑んだら、ご令息達は挙動不審になるし、御令嬢達は扇で顔隠しちゃうし。
あぁ、嫌われちゃったのかしら僕。ちょっと凹むわー。
バタついちゃって、結局さっきの悲鳴は何の事件だったのか分からなかったよ。
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