求ム!即効性のあるメンタルトレーニング〜クラスメイトがトラウマ幼馴染に瓜二つなんです〜

北森青乃

疾風怒濤の1年生編

プロローグ

 



 蒸し暑さが広がる夏の夜。

 所狭しと並ぶ屋台に、響き渡る祭囃子。

 家族連れにカップル、たくさんの人が笑顔になる日。

 そんなお祭りの光景を背に、俺は1人歩いていた。


 こんなはずじゃなかった。本当なら……


 なんて思いが頭の中をグルグル駆け回っていると、途端に背後から聞こえる花火の音。


 見なくても分かる。

 その花火は大きくて色鮮やかなんだろう。その姿は容易に想像できる。


 ただ今はその華やかさが、湧き上がる歓声が……胸に突き刺さる。


 100%成功するなんて思ってはいなかった。けど90%くらいは大丈夫だと思っていた。

 家も案外近くて、昔から遊んでいた。たくさん話をしたし、登下校だって一緒にしてた。


 バレンタインだって毎年貰った。お互いの誕生日には欠かさずプレゼントを渡してた。クリスマスも必ずどっちかの家でパーティだったし、初詣だって毎年一緒に行ってた。


 それでも……緊張した。2人でお祭りに出掛けようって誘った事も、並んで歩いていた時でさえ。

 けど、満更でもない雰囲気が俺を奮い立たせた。




『ごめんね……やっぱり幼馴染としか見れないよ』




 俺はその日、中学最後の夏休み。

 幼馴染の高梨たかなしりんに……



 振られた。



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