詰め合わせ
最上澪
料理
「今日は私特製カレーを作ります!!」
「わーー」
高らかに宣言した私に対して、助手役はテキトーにぱちぱち手を叩きながら棒読みで歓声をあげる
「温度差が激しい…表情筋すら仕事してないんだけど…?」
「歓声あげて拍手したじゃん、俺にしてはテンション上がってる方だよ
まず玉ねぎ切ればいい?」
「あ、うん、みじん切りでお願いします」
まあたしかに、いつもなら無言で視線をよこすだけだし、そもそも一緒に台所に立つなんてしない
そんな人が自分から一緒に台所に立って、玉ねぎ切ろうとするくらいにはテンションが上がってるみたいだ
ちょっと嬉しい
ーーーーーーー
「完成〜!!」
「わーー」
料理前と寸分違わぬリアクションをいただきました
「久しぶりに料理したでしょ?どうだった?
ちなみに私は楽しかったです!」
「うん、俺もたのしかった
たまにはいいかも」
軽くだけど、口元を緩めながらそう言う彼を見て、こっそり安堵のため息をついた
無理に誘ったかもしれない、と、不安に思う気持ちが多少はあったみたいだ
「ならよかった!さ、食べよ食べよ」
「…料理自体もだけど、2人でやれたのが一番たのしかった
ありがとう
来年は俺も一緒に考えるから、もっと記念日っぽいことしようか」
「…今日記念日なの知ってたの?」
てっきり覚えてないものかと…
ていうか今当たり前のように来年の話したよね?
「知ってたよ
だからこんなのも用意してあります」
そう言いながら彼が取り出したのは、
「ネックレス…」
「普段、言葉とか足りてないのは自覚してるから
こういう日くらいはちゃんとしようと思って
愛想つかされたら困るし」
「っ…?!あ、えっと、」
愛想つかされたら困るって言った?!
いつか、愛想つかされそうだなと思っていたのは私だけじゃなかった?
「…好きだよ、これからもよろしく」
「…!こちらこそよろしくおねがいします!」
「ネックレス、つけてあげるから後ろ向いて
ん、似合ってる…普段から付けといてね」
「…こっちの身が持たなくなるから、頑張るのはたまににしてね…」
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