型にはまらなかった才能

 世の中には圧倒的に優れていても、埋もれてしまった才能というのがあるのではないだろうか。それが詐欺や掏摸の才能であるならば、世に認められていないので、仕方が無いと言えるが、そういうものではなく、例えば短距離走だ。競技にあるのは、百メートル、二百メートル、四百メートル。計測でいうなら五十メートルもあるが、この「型」にはまらなかった者もあるのではないだろうか。五十や百では遅れを取るが、八十なら負けない、という具合だ。無論、八十で誰にも負けないなら、五十も百もそれなりに速いだろうが、そういったズレはないのだろうか。

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