堕落

 今の自分は割と真面目に生きていると思っている。昼まで寝ていたり、日付けが変わるまで酒を飲んでいるなんてことはないし、部屋だって片付いている。多少は勉強や運動もしている。私は怖いのだ。何も分からなく、体も動かないようになるのが、とても怖い。何かを得ようとするプラスの力でなく、何かを遠ざけようとするマイナスの力によって、私は動いている。


 だが時に、とんでもなく堕落してみたくもなる。

 煙草も始めて、汚い部屋で朝から晩まで酒を飲んで、賭博か何かで時間を潰す。疲れたら寝る。腹が減ったら食う。そういう生活もしてみたいと思ってしまう。実際、学生の頃はそれに近い生活をしていた。


 私が堕落したいと思う時、その生活には必ず他人の姿がある。前を向いている時、私は一人である。


 堕落に対する想像力が欠けている。もっと途轍もない堕落がある気がする。酒、賭博、その次はやはりあれだろうか。

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