255:白姫ゆり(父)とコラボ!①

「とうとう、この日がやって来た⋯⋯!」


 僕はGWが明けてすぐの週末にとある企画を立てていた。


 今回はいまなんじではなく、Vライブのとある人達を呼んでいるんだけど⋯⋯想像するだけでちょっとニヤけてきちゃう。


「ふっふっふ⋯⋯お父さんも⋯⋯こっち側に引き込まないと⋯⋯」


 そう、今日予定しているのはお父さんこと、閃光のシュバルツ⋯⋯じゃなくて白姫ゆりとのコラボ。


 そして、そのコラボの時に呼んでいる人って言うのが⋯⋯


「ゆかちゃんこんにちはっす」

「こうして喋るのは初めてですね」

「二人とも今日はありがとうございます!」

「全然問題ないっすよー 何より企画が面白そうだったっすからねー」

「先輩に愛の言葉を囁きまくって良いだなんて素敵な企画ではありませんか!」

「秋夜っち、なんか怖いっすよ⋯⋯」

「ジョークですよ、ジョーク」

「結構ガチに聞こえるから心臓に悪いんすよ⋯⋯」


 お父さんの同期である疾風のナイトハルトさんと、お父さんの後輩の紫電の秋夜さんの二人をゲストに呼んでいるんだよ!


「それで、ゆかちゃんだけじゃなく、俺っち達全員でリーダーを褒めちぎれば良いんすよね?」

「はい!」

「今日先輩は、機材の問題で事務所から配信するそうなので、私も事務所から配信に参加しようかと思います」

「俺っちは地区が違うから行けないんっすよー 目の前で見たかったっす⋯⋯」

「それだったら秋夜さんにはお父さんにバレないようにだけ気を付けてもらえれば!」

「勿論ですよ。 ふふっ」

「なんかコイツからはマジもんな気配を感じるんすよね⋯⋯」

「失礼ですね、私は先輩を尊敬しているだけですよ?」

「それが度を越してる時があるってだけっすよ」

「もしかしてBL営業ってやつですか⋯⋯?」

「それはないです」


 軽く雑談をしながら今日の配信の流れを再確認していき、三人で流れを共有すると、お父さんとのコラボの時間の少し前になってしまった。


「それじゃあそろそろ行ってきますね!」

「いってらっすー」

「行ってらっしゃいませ」


 そしてVCから抜けた僕は深呼吸をして白姫ゆかに深めになりきる。

 お父さんとのコラボだからこそ、深く、深く。



『リス兄、リス姉、そしてお父さんのリスナーさんの皆こんばんは! 白姫ゆかだよ♪』

「皆様お久しぶりです、白姫ゆりです⋯⋯って何で自分の息子とこんな地獄みたいなコラボしなきゃいけないんですか⋯⋯」

『ボクとコラボするのは⋯⋯嫌?』


:あっ

:あうっ

:それは卑怯すぎる

:ゆりちゃんの反応はいかに


「い、嫌とは言いませんけど⋯⋯やはり男親としてはカッコいい所を見せたいと言いますか⋯⋯」

『大丈夫だよ! お父さん凄く可愛いよ!』

「息子に言われて嬉しく無い言葉ランキング上位に入りそうですねこれ」

『むぅ⋯⋯お父さん機嫌悪い?』

「そ、そんな事は⋯⋯はぁ、わかりましたよ!

 やれば良いんでしょう! 後で覚えておいて下さいよ!?」

『い、いきなりどうしたの!?』


:いきなり態度豹変するの怖い

:この感じマネージャーさん辺りが何かやったか?

:面白いことになりそう!

:と言うかゆりちゃん状態になってる時って普段なら秋夜君とかナイトハルトさん来るのに珍しいね

:あー、今配信中だしなあの二人

:マジかこんなコラボ中に被せるのか


「ふぅ⋯⋯覚悟は決めました⋯⋯」

『な、何の!?』

「いきます!!!!」

『だから何が!?』


 お父さんが何やら覚悟を決めたと思ったら、突然お父さんのモデルの衣装が切り替わった。


 まるでボクのゆかにゃん衣装のように。


「ゆ、ゆりにゃんだにゃん!」

『!?!?!?』


 余りの衝撃に言葉を失ったボクだったけれど、それはコメントの方も同じだった。


:?????????

:ゆりにゃん???????

:え???????????

:!!!!!??????

:エッ!?!?!?


「あああああああああああああ!!!!

 私は何を言わされているんでしょうかあああああああああ!!!!」


:発狂してて草

:SAN値直葬すぎる

:年齢考えたらそら発狂物だわ


『な、なんでいきなりそんな事を言ってるのお父さんは!?』

「あはは⋯⋯ゆかちゃんが私の事をなんて呼ぶか勝負をしてたんですよ⋯⋯流石に二回目ですし、名前呼びになるかなーと思ってたんですけどね⋯⋯あはは⋯⋯」


:草

:草

:草

Vライブマネージャー:草、私の勝ちです!

:マネージャーwww


「まぁ、ゆりにゃん衣装は元々作られていたので良いんですよ⋯⋯良いんですけども⋯⋯」

『そのセリフが恥ずかしかった感じかな?』

「当たり前じゃないですか!!」

『そうかな? 慣れると結構かるーく言えちゃうと思うけど⋯⋯』

「慣れたく無いんですがそれは」

『無理じゃないかなぁ⋯⋯多分ASMRとかボイスの販売も予定してるんじゃないかな? そうなるとそっちの方が恥ずかしいと思うよ?』

「いや流石にそれは無いですって⋯⋯あってもシュバルツの方ですよ」


Vライブマネージャー:予定してますよ!安心してください!

:草

:何一つ安心出来ねぇ

:鬼だコイツ!!

:ゆりちゃんボイス待ってる


「えっ? いやいや、流石に冗談」


Vライブマネージャー:じゃないです

:草

:草

:草


「⋯⋯それでは今日の配信お疲れ様でした!」

『お父さん!?!?』

「させませんよ、全く先輩は悪い子ですね?」


 そんな声と共に配信にとある人が乱入して来た。

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