48:登校日は正直面倒だよね
無事に東京から名古屋にある自宅へと帰還した僕は、長い遠征の疲れのせいか、ベッドに入ると泥のように眠ってしまった。
朝になり目を覚ますと、学校へ行く準備をしないといけない時間になっていた。
「うぁ!?危なかったぁ!」
急いで支度をして僕は学校へと向かった。
バスに揺られながら学校に着く頃にはまた眠気が僕を襲い始めていた。
だけど寝過ごすと大変な事になるから気合で耐えて、無事に到着した⋯⋯けど、ぶっちゃけやばいと思ったよ。
「おはよー裕翔」
「おう、優希おはよう。 久しぶりだな!」
いつものように裕翔に話しかけると裕翔も同じように返事をしてくれた。
「はい、これお土産。 先生にバレないうちに鞄にしまっておいた方がいいよ」
「おっ、センキュ!お煎餅か、なかなか渋いチョイスだな」
裕翔はお煎餅の袋をチラッと見ながらそう笑った。
確かに渋いかもしれないけど、味は本物なんだよ?
「浅草行ってきたんだけど、そこで売ってて思わず買っちゃったんだよねー」
「浅草かー雷門だっけ?俺は見に行った事はないけどどうだった?」
「そうそう、雷門。 凄く大きかったよ」
「まぁ画像で見るだけでもでっかいもんなぁ」
「他にも色々あったよー今回の東京遠征」
「ま、まぁだろうな。 コミケ暑かったろ?」
「死ぬほど暑かった⋯⋯でも楽しかったよ。
全部女装してたけど」
僕は遠い目をしながらそう言った。
「ははは、まぁ目的が目的だから仕方ないな。というか俺もネット見てたら優希が出てきたときは死ぬほどビビったぞ」
「えっ?僕出てたの?」
「出てた出てた。コミケ特集っぽいやつに載ってたぞ」
「あーそう言われると勢いでオッケーって言った気がする⋯⋯」
記憶に無かったけどそう言われてみるとそんなのに載せたいって言われたような言われてないような⋯⋯?
「覚えてないのかよ⋯⋯」
「てへっ」
「可愛く言うなよ、許しそうになるだろ」
「別にいいじゃん!」
そんな他愛もない話をしていると
「あっ、姫くんだー!おはよー!」
「おっ、ちゃんと来たんだね。偉いね姫くん!」
「お、おはよう、久しぶりだね」
いつもの三人も僕に声をかけに来てくれた。
「あっ、みんなおはよう! あっそうだ、三人にもお土産あるんだ、はいどうぞ!」
僕は裕翔に渡したのと同じお煎餅を三人に渡した。
「おっ!お煎餅だ姫くんありがとー!」
「姫くんありがと」
「あ、ありがとう、大事に食べる、ね」
「ふ、普通に食べてくれればいいよ?」
「あ、あと姫くんのコスプレネットで見たよ!超可愛かった!」
「私は見せてもらったけど凄く似合ってたよ」
「私も現地居たけど見つけられなかった⋯⋯」
「「「えっ?現地にいたの?」」」
「あっ、う、うん、そのね、サークル側で参加してたから⋯⋯手が空いた頃には帰っちゃってたっぽくて⋯⋯」
「そうだったんだ、それなら教えてくれればよかったのに!」
僕はそう花園さんに言った。
それにしてもサークル参加だなんて凄いなぁ⋯⋯
「えっと、流石に私の描いたもの見られるのは恥ずかしい、かな」
「うーん、それなら仕方ないかぁ⋯⋯機会があったら見せてね!」
「う、うん」
「いいなーうちも見たいなー」
「私も読んでみたいなー」
「えぇ!?うーん、ちょっとまだ、その」
「あれ?もしかして?」
こくり、と花園さんは頷いた。
つまりそういう事なのだろう。
⋯⋯ごめんなさいよく理解してませんでした。
「ごめんね、来年になったらだったら⋯⋯姫くんには見せられないけど」
「なんで僕だけ!?」
「残念だけど当然だよね」
「残念だけど当たり前だねー」
そんな話をしているとチャイムが鳴ったので僕達は席に座る。
それからの話は特に面白い事もなく時間だけが過ぎ去っていく。
「くぅぁー!」
僕は座りっぱなしで疲れた体をぐっと伸ばした。
「優希お疲れ」
「裕翔もお疲れ様」
「今日はどうする?すぐ帰るのか?」
「うーん、ご飯の材料買いに行くくらいかなぁ」
流石に一週間も部屋を開けていたから、冷蔵庫の中身は空っぽ。 だから材料を買わないと僕の食べるものが無いんだよね。
「そうか、まぁ俺もあんまり余裕無いし、今日は帰るかー」
「だねー、僕夜は配信する予定だから少し余裕持っておこうかな」
「戻ってきて早速配信とは精が出るな。
倒れない程度に頑張れよ?」
「勿論、倒れたら色々な人を心配させちゃうからね」
教室で裕翔と分かれた僕はバスに乗り家の近くまで移動する。
それからは家から近いスーパーに行きご飯の材料を購入する。
「今日は肉じゃがにでもしようかな?」
外はまだ暑いのでぱぱっと材料を購入したら家に帰っていく。
無事に部屋に辿り着いた僕はシャワーを浴びて汗を流す。
そして体を拭いて僕は少しお昼寝をした。
普段なら勿体無かったり、お昼寝自体する時間が無いけれど、お昼寝する余裕があるのも夏休みの醍醐味だよね。
夜になり、僕は久しぶりに配信をする格好になった。 多くの人が僕の配信を待ってくれているみたいだから、僕はみんなの期待に応えるためにも頑張らないと!
すぅーっと深呼吸をして意識を切り替えると、今のボクは白姫ゆか。
さぁ、配信を始めよう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます