俺にはそんな気がした___

Eternal-Heart

第1話 きっかけ

視線が合う。

きっかけなど、その程度のものだ。

俺にはそんな気がした__





私は、ひと気の少ない図書室が好きで、

読みかけの小説を読んだり

窓の外を眺めながら好きな音楽を

聞きながら過ごしている。

ガヤガヤした教室の雰囲気は苦手で

落ち着かない。


今日はいつもより人が多く

お気に入りの窓際の席が埋まっている。



空いてる席を探してる時に、ふと何となく

いつもは立ち寄らない奥の方が気になった。

図書室の一番奥で、足を組んで肘をつきながら

本を読んでる男子がいる。



あれ、誰だろう?  初めて見るな

あんな奥まったところにも席があったんだ

何、読んでるんだろう?



別に気付かれないように

そっと近づいた訳ではない。

図書室だから足音を立てないようにしてるだけ。

私も好きな本に没頭してる時は、周りが見えなくなる。

彼の手の中の文庫本の表紙を、少し屈んで

覗き込む。


えっと

『黙約・ブラディドールシリーズ/北方謙三』

どんな小説なんだろう?




彼と目が合った____




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