電波塔

澪凪

電波塔の見える公園のベンチ

寮の閉まる時間は21:30


男子は22:00


先輩と出会った時は21:30までには寮に戻っていた


しかしある日を境に私は一人暮らしを始め、門限が無くなった


先輩は門限を気にすることなく、私と夜のデートをした


やましいことではない


ただ夜景を見て、お酒を飲んで、公園で近況報告をする


側から見たら付き合っているくらいの距離感かもしれない


私は恋愛感情を抱いていた


先輩は私に対して、都合の良い女としか見てなかった


それでも良かった


高校に居ること、高校の寮にいることが、生き地獄だった私を救ってくれたから


高校を転校すると同時に接点がなくなった


これでよかったのだ


そう思った


それでもまだ残っているインスタグラムのつながりは


お互いに消そうとはしない


別にお互いに恋愛をしようというわけではない


お互いにキープし合っているだけである


先輩、私はもう都合のいい女ではありませんよ。あんたみたいなヤリチンなんて大嫌いです。


言えない気持ちを隠して、今日もインスタグラムを開く


そろそろヤリチンやめたら?


人のことは言えない


向こうも同じことを考えてるだろう


先輩、幸せになってね

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