第5話 悪魔の仕業
「モグ、悪魔っていると思う?」
「何よ、バカじゃない。いるに決まってるじゃない」
「見たことあるの?」
「目の前でタバコ吸ってる」
「僕が悪魔なの?なんで」
「なんでじゃなくて少しは頭使いなさい。美里とは離れて、部屋は狭苦しくなって、缶詰は半分しか食べさせてもらえない。悪魔の仕業としか思えない」
「違うんだよ。悪魔なんていないんだ。今の状況は僕の仕業なんだよ。悪魔は人間が意図的に創った架空の存在なんだ」
「あんた何か落ちてるものでも食べたの?さっきから何いってるの?いよいよ頭までおかしくなった」
「頭は前からおかしいよ。15年前から…」
「そうだったわね。ごめん。双極性障害よね。それ考えるとよく生きてる方よね。それで悪魔のデビルマンがどうなるの?」
「なんでデビルマンが出てきたの?いやね、悪魔だけじゃなくて暦に仏滅とか大安とかあるじゃない。あれなんかも人間が作ったものにすぎないんじゃないかと思ってね」
「話が今だみえないんですけど……」
「うん。昔の人がある目的を持って創ったものが時を経て重要性を増し、近代化された現在の僕達の行動、思想にまで影響しているのがバカらしいということを言いたかったの」
「ふ~ん。それで?」
「それでいろんなものに振り回されることなく、自分を信じて生きていきたいと思って」
「ふ~ん。初老の主張ね。まあ、随分と生き方が決まるのが遅い方ですこと」
「人生に早い、遅いはない。気づけるか気づけないかだ」
「まあ、立派だこと。これで缶詰を一日ひとつ食べられるようになるのはいつ?」
「……おまえは悪魔か……」
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