四日目の朝

 午前7時。

 少し今日は早く起きてしまった。

 お姉ちゃんと遊びに行くのが何気に楽しみなのだろう。

 まるで、小学生の遠足当日の朝のようだ。


 爽やかな気分でベッドから起きて、カーテンを開ける。

 朝の明るい日差しが部屋に差し込んで、スズメだか何だかの鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 こんな気持ちの良い朝なのだから、コーヒーを飲みながら読書。なんてことをしてみたら、きっと充実した朝だと感じることができるんだろうな。

 コーヒーは飲めないけど。砂糖、十杯くらい入れたら多分飲める。


 この新学期前日の朝をいい気分で過ごせる。

 昨日のうちに宿題を終わらせておいてよかったと心の底から思った。


「さてと」


 ふと、今日は初めて、親と一緒に朝ごはんを食べてみようかなと思い立つ。

 確かお母さんは、いつも8時20分頃に家を出ていたはず。

 まぁ。しかし、お父さんとは、ほぼ話したことがないし緊張するな。

 そんなことを考えながら、部屋を後にする。


 私の部屋は二階の一番奥だ。

 物置として使われていた部屋を、私の部屋にした感じらしい。

 で、私の部屋の隣にあるのがお姉ちゃんの部屋──

 あれ? お姉ちゃんの部屋から物音がする。

 起きてるのかな?


 お姉ちゃんの部屋の前まで来た私は、興味本意で中を覗いてみる。


 どこか張り切っている様子のお姉ちゃんが、そこにいた。

 クローゼットの中を鼻歌まじりに漁っている。

 ベッドの上には何着ものオシャレな服が置かれていた。

 今日着ていく服選びだろうか。

 いくらなんでも張り切りすぎな気もしてしまう。


 ……と思ったが、今日お姉ちゃんは私とデートする気で水族館に行くらしいし。

 デートなら、あんなに張り切っていても仕方ないかと謎の納得をしてしまった。


 お姉ちゃんに気付かれぬように、私はそっとドアを閉じた。



※※※※※※



 ……今日は、酷いくらいに全然眠れなかった。

 結局、眠りについたのは午前3時頃。

 そして今は、午前6時だ。


 でも、あと4時間もすれば、てんちゃんとのデートが始まる。

 これは私にとってこの上なく楽しみなことだった。

 ……このデートで、私のこと好きになって欲しいな。

 好きになってくれたら、向こうも私とずっといたいって思うようになるから。

 私もそれで満たされるから。


 てんちゃんがこの家に来て早々こんなのはおかしいけど、もう、てんちゃんがいないとダメな体になってしまいそうだ。

 あぁ。私、てんちゃんのこと好きすぎるだろ。

 なんか恥ずかしくて、誰にも見られていないのに赤面してしまう。


 しかし同時に、あと4時間も何をすればいいのかとも思う。

 ……とりあえず。今日着ていく服選びから始めようかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る