神様がゾッとした日 エピローグ

 いつの間にか、女性と青年は交際をスタートしていました。


 デート中、ベンチでソフトクリームを食べる二人。


 女性の口元についたソフトクリームを指で拭う青年。


 女性は頬を赤く染めます。



 またある時は、二人仲良く恋人つなぎでショッピングを楽しみます。


 二人の時間はまさに幸せそのものでした。


 なんだか女性の笑顔はとても眩しく見えました。


 そんな様子を神様はモニター越しに流し見しては子猫と戯れるのでした。



 ある日のこと――。


 神様が鳥居の下で子猫と戯れていると、サイレンを鳴らした救急車が神社の近くを通り過ぎていきました。


 神様はつぶやきます。


「そういえば……彼女の最期は今日だったわ」


 一度でも死神を引き寄せた人間は、決して長く生きることはありません。


 女性はつい先ほど交通事故に遭いました。恋人である青年が目を離した一瞬の隙に……。


 救急車が通り過ぎた後、神様は石段に腰かけます。


「本当はあの夜、彼女はここで自殺するはずだった。でもわたしはその邪魔をした。たった数日生き延びたところで、そんなの無意味だって分かってたのに……」


 しんみりムードの神様。


 すると傍にいる子猫がみゃーと鳴きます。


「何? わたしを慰めようとしてるの?」


 神様は子猫を抱きかかえると、前方に広がる景色をしばらくの間ぼーっと見つめるのでした。







 夜遅くフクロウが鳴いた頃、妙な音で神様は目が覚めました。


「もう! ちょっと何なの? 今何時だと思って――!?」


 ご神木で青年が首を吊っていました……。

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