第45話 なんとか上手くいったみたい?
カヒラは顔を真っ赤にしたまま、お付きの使用人達に促されて公爵家から出て行った。
DNA鑑定か…自分で思いついた事だけど、カヒラは鑑定したんだろうか?
お父様は先々代カイフェザール公爵と、内務省の役人や地方管理官…と思しき数人を伴って大広間を出て行った。
離縁や領地返還のアレコレの打ち合わせかな?難しい話はおじさん達に任せとこう。私は隣に立つラナイス様を見上げた。
「驚いたね…離縁か、王族じゃ初めて?でもないのか…確か何代か前に…えっなに?」
そんなことをブツブツ呟いているラナイス様の脇腹を小突くと、この世界にDNA鑑定の代わりになる検査があるのか聞いてみなくちゃ…と思い、広間の端の方へ誘導した。
「え~と…ラナイス様は血縁関係があるとか、実子かどうか判断する為に調べたりする方法とかご存じ?」
私が小声でそう尋ねると、ラナイス様はキョトンとした美しいお顔を見せてきた。
「え?判断も何も魔質を探ったら分かるけど…ん?ああ~そうかナノシアーナは学院で学んでないんだっけ…学院の二学年だったかな?で、魔質の性質を学ぶ授業があるんだよ。だから学院の卒業生はある程度の魔力の性質を読みとって判断出来ると思う」
ん?学院とは国立の学校のこと?あ……私、カヒラと同じ学院で居づらくってすぐに学院辞めちゃったんだった。筆記試験を受けて単位は取って卒業資格は得ているけど、魔術は発動すら出来なくて習得出来ないままだった。
「では…学院で学んでいれば誰でも判別出来るというわけなのね?」
私が聞くとラナイス様はちょっと考えるような表情をした。
「う~ん……これもまた説明すると長くなるけど、適正が無ければ出来ないんだ。あ、入学前に学院の魔質適正試験を受けたよね?」
「試験は受けたわ。私は治癒と風系に適正があるって言われたけど」
ラナイス様は、あっやっぱり!と声を上げた後に破顔した。
「直系の王族方は治癒能力が高い方が多いからね~その『治癒』の資質が魔質の判別に大いに関係していて、探知と追跡系の魔術が扱えると人の持つ魔質の性質をより深く探ることが出来るんだ。つまりは授業で適正を探る魔術を教えてはくれるけど、扱えるかは本人の資質による。だからナノシアーナのような治癒系の適正が無いと本質までは探れない。習ってないなら知らなくても仕方ないね」
うおおっ……ぶっちゃけ国立学院を辞めてから、魔法に関して全く勉強してなかったわ!だって元々魔法なんて無い世界の記憶があるから、使えなくても困らないし基本、こちらの魔力を動力とする仕掛けの道具は全部勝手に使えてたからさ~
だってね、普段に生活してて攻撃魔法とか防御魔法なんて使う?おまけに私には“イガモノ”の護衛がついてたし、魔法いらんだろうて?
「じゃあ…当然カヒラの出自に関しては調べてるよね?」
DNA鑑定の話をさりげなく聞いてみると、ラナイス様は少し表情を引き締めた。
「後継ぎや継承権の絡む血筋の方々は当然、調べている。ナノシアーナの考えていることは既に陛下もご存じだ、心配はいらないよ」
やけに確信的な物言いをしたラナイス様の言葉で、ああ~もしかしてこれもお父様達と話していて、解決?しているのかなぁ…とぼんやりと思った。
当たり前だけど、物語の主人公のように全ての事件?に私が絡んで行ける訳はなく自分の知らない所で重要な話や大事件は起こっていて、知らない間に時間が過ぎている。
「結論は出ているのよね?」
最終確認のつもりでラナイス様に聞き返すと
「近いうちに離縁も含めて公になるよ」
ラナイス様が不敵な笑みで返して来た。
完全に私は蚊帳の外だけど、何それ!ワクワクするぞ!と叫びそうになったことは内緒の内緒だ。ムフフ……
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