第30話 なんだかなぁ~
両手を広げるBBAと怯えるアラサー童顔…絵面が摩訶不思議状態だが、いつまでもこうしていても埒が明かない。
「では…私がジョナの体を調べましょうか?」
と、私が言うと明らかにBBAジョナのテンションが下がった。広げていた両手を下げると、言い出しっぺの私に余計なこと言いやがって!みたいな目を向けてくる。
だが私はここで、意地悪王女殿下の本領を発揮してあげることにした。
「それにしても何を隠し持っているのかしらねぇ~全裸にして見れば分かるかしら?」
ジョナが顔を真っ赤にすると小さく悲鳴を上げた。
面白くなってきてジョナに少し近づきながら、扇子で胸元を指し示してみた。
「あら?何も疚しい事がないなら、全部見せられるでしょう?それとも、本当に隠し持ってるのかしら?例えば胸元の中とか…」
胸元…なんて完全なる当てずっぽうなのだが、それでも十分に効果はあったみたいだった。
ジョナは無意識に胸元に手をやっていたので、テルリアン叔父様がそれを見て
「ジョナ…胸元に隠しているものを見せなさい」
と、また揚げ足を取られそうな言葉を言ってしまい案の定…
「テルリアン様と二人きりなら、お見せしても構いませんわ♡」
「…」
なんてBBAにうっとりとした表情で言われてしまっていた…叔父様もキヲツケナヨー。迂闊なことは言わないほうがいいよ?
色々ダメージを受けてしまったらしいテルリアン叔父様に代わり、カレンとイガモノの女性隊員のくノ一?がジョナの身体検査を行うことになった。
ここでもジョナはBBAのしぶとさで胸元を見られることに抵抗していたそうだが(誰がBBAの胸を見たいと思うんだよ)思った通り、胸当ての隙間に小瓶を隠し持っていたのが発見された。
見付かった後でもジョナはまだ言い訳を重ねていたが、ここまでずーーっと空気だったジョナの旦那がやって来て
「初めから公爵家に入り込もうなんて無理なことだったんだ。目を覚ませ」
と言い放ったらしい。どうやら空気旦那はテルリアン叔父様に熱を上げるジョナに我慢の限界を感じていたらしい。
以下、ジョナの旦那の証言だ。
ジョナは公爵家で使用人として働かないかと、マスメット卿からご紹介頂いた…という趣旨の話をしていた。出来れば家族皆で…ということだったので、自分達は元々は農業をしていたこともあり思い切って、自分は庭師として息子達は侍従で…ということで働くことにした。
この時までは自分は何も知らずに、本当に普通に使用人になったつもりだった。
公爵家に入ってからジョナの態度は変わった。まだ10代の息子達もどうしたことか、周りに横柄な態度を見せるようになってきた。おまけに年嵩の使用人や義兄のチャベスにもジョナ達の勤務態度に苦言を呈されるようになった。
その度に使用人達に頭を下げて、ジョナや息子達を叱っていたのだがジョナ達は聞く耳を持たない。おかしい…そして渋るジョナからやっと聞き出した言葉が
「私はテルリアン様と婚姻することに決まっているから、あんたはいつでも出て行っていいのよ」
という、とんでもない暴言だった。
それを聞かされたが、ジョナもいつか現実を知って目を覚ますと思っていたのだが…こんな事件を起こし、見切りをつけて離縁してジョナと息子と縁を切りたい。
これがジョナの旦那の証言だった。
こんな状況で言うのもアレだけど、弱ってきたり旗色が悪くなると嫁と息子から逃げ出すクズ夫っているよね?まあ…今回に限ってはジョナも悪いしどっちもどっちだけど。今回の公爵家に関することでは、旦那も限りになく黒に近いグレーな感じで怪しいと思うけどな…
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