悪女と呼ばれた私は静かに微笑む

琉樹

第1話私は悪女でしょうか。





今日は私の16歳の誕生日パーティーのはずだ。いや、そうだ。


なのに何故、カーティス殿下は婚約者の私ではなく他の女をエスコートしてるのだろうか。


このパーティーは王宮で行なっている。

私が次期皇后だと貴族たちに意思表示する為のものでもあるからだ。


なのに何故他の女と殿下が腕を組んでこちらに向かってるのだろう。


お揃いのドレスコードを身につけ

謎の笑みを向けこちらに向かってきてる

のは本当に殿下なのだろうか。


そんなことを考えてるうちに殿下と

パートナーの女は私の目の前に来た。


「悪女ルファーナ!!俺は今ここに貴様との婚約破棄を告げる!!」


殿下が私のことを悪女と呼び叫んだ。

そしてなんだって?婚約破棄??


言ってる意味がよく分からないので

私は呆けてしまった。


私の態度をみてかカーティス殿下は

更に声を荒らげて叫んだ。


「悪女ルファーナ!貴様は血の聖女へ数々の冒涜をし、しまいには聖女の殺害をも企てた!そのような者はこの国には要らない!国外追放とする!」



…………は?????

え、何言ってんのこいつ。

え?え?え?


いや、私の誕生日パーティーに

エスコートしなかったこともびっくりだけどここまで馬鹿だったとは思わなかったわ。


しかもなにしれっと婚約破棄する前になに次の女キープしてんだよ。アホ殿下は

自分のしてる間違いに気付いてないのか?


…いや、これは本当に気付いてないパターンだな。本当にやばいなこいつ。


…は、つい思考を巡らせてしまった。

殿下があまりにもアホすぎて…


ここはとりあえず背筋を伸ばし指の先まで意識して凛と立つ。


呼吸を一息して…


「ごきげんよう。カーティス殿下。」


ドレスをつまみ深々のお辞儀をし

殿下の目を見る。


「今日初めて会った人には初めに挨拶するのがマナーではなくて?それにそんなに声を荒らげていたら皇室の尊厳が損なわれてしまいますわ。」


そして満面の笑みを浮かべる。

観客は少しどよめいたが、想定通り。

そして殿下の赤い顔も…


「犯罪者の貴様へのマナーなど底が知れる!貴様は聖女への殺害容疑だけではなく皇室への冒涜までも犯すのか!!貴様は許さん!死刑とす!!」


…流石に呆れた。馬鹿だとは思っていたがここまでとは。


私はため息をつき言った。

「話をきるようですが陛下…」


「ちょっと待って下さい!!」


私が言いかけた途端甘ったる声が響いた。その声の主は殿下の隣に居る女だ。


その女は涙目になりながら言った。

「死刑はダメですぅ…。殿下ぁ…。

確かに私はルファーナ様に罵られたり毒を盛られそうになったりしましたが今はカーティ様がいらっしゃるので大丈夫です。どうかルファーナ様にお許しを…」


「ミーエナ…。あの悪女に殺されそうにさえなったのになんて心が清らかで優しいんだ…。」


そういって2人は抱きしめ合った。

婚約者の私の前で。…あ、元婚約者か…


ミーエナと呼ばれた女は金髪碧眼の少女だった。ふわふわしており…


まぁ、男が好きそうなタイプだ。


因みに心が清らかな者は人の婚約者を愛称呼びしたり取らないと思う。それは正味クズがすることだ。

まぁ、アホ殿下とはお似合いな気がするが…



しかし私は彼女を知らない。というか今知った。この2人のおバカ劇場をいつまで見ていなければいけないのだろうか。


というより殺害を企てたって何なんだろか。マジ着いてけない。


「カーティス殿下、私はその女を知りません。なのにどうして私が彼女を冒涜したり殺害を企てたりしなければならないのでしょう。」


私は真っ直ぐ冷たい眼を彼に向け言った。

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