氷原の事由
氷原ゆ子
◆月影ダウナー
「休みます」も言えず電源落としたスマートフォン
穏やかな光が窓から差して僕を責める
風呂で死体を刻む夢を見た
真夜中に脈打つ鼓動が不快で
ベッドの重力から逃げられず
自分の呼吸音に絶望していた
世界に「さよなら」と言えたら
どんなに素晴らしいでしょうか
もう同じ過去に刺されることもない
誕生日に死にたい そしたら
残された人が僕を思い出すのが
年に一度だけで済むでしょ
血液を分けるように寿命も渡せたなら
何も価値のない僕も最期に笑えたのかな
コンビニで買ったビニール紐と
晩餐にはコレと並べた好物と
殺風景になったこの部屋で
泣きながら手紙を書いてた
世界に「さよなら」と言えたら
どんなに素晴らしいでしょうか
もう暗い未来に苦しむこともない
誕生日に死にたい そしたら
残された人が僕を思い出すのが
年に一度だけで済むでしょ
第二の死が先に迎えるのなら
誰も哀しませることなく・・・
ねぇ、
世界に「さよなら」と言えたら
どんなに素晴らしいでしょうか
もう同じ今を繰り返すこともない
誕生日の夜は なぜだか
とても月が綺麗に見えて
泣き崩れそのまま眠った
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