第40話 ビッグゲート攻防戦
その2日後アレクらはやっとクリスらと魔導電話が通じた。
マーマレードの技師がフロンティアとビッグゲートの間に魔導回線を施設したのだ。
「アレク様。ビッグゲートの開放ご苦労さまでした」
「いえ、クリス様こそ、ドグリブ王国とフロンティアにてのご活躍、お疲れさまでした」
「敵、ホワイテア帝国軍がそちらに迫っているとの報告が来ています。我々もすぐにそちらに向かいます」
「クリス様が来て頂ければ鬼に金棒です。敵は高々5師団ほどです。我々共でもなんとかなると思いますが、来ていただくことをお待ちしております」
クリスは急遽つないだ魔導電話を切った。
フロンティアにはスカイバードを使ってボフミエ本国より2個中隊をすでに呼び寄せていた
最終は1個大隊規模になる予定だ。
突貫工事にてボフミエ魔導国とテレーゼ王国、オロン島とフロンティアの間に1日5便の航路が完成していた。
「ギャオちゃん、行くわよ」
クリスが言った。
「クリス、俺も一緒に行く」
「ウーーーーーーー」
オーウエンが言うが、ギャオちゃんはそのオーウェンを威圧する。
「えっ?」
「オーウェン様。ギャオちゃんは男は乗せたくないと言ってますけど」
オーウェンのでナタリーが言う。
「えっ、何、その狭い根性」
オーウェンが怒って言うが、
「ピーーーー」
ギャオちゃんは全く動じずにナタリーに頷く。
「そんな」
忌々しそうにオーウェンが言うが、
「ということで私はナタリーと一緒に行きます」
クリスが最終決断を下した。
「えっ、そんな」
オーウェンはショックを受けて言うが、
「ピーーー」
ギャオちゃんはオーウェンを見下した態度でクリスにすり寄る。
(おのれ、いつか必ず焼き鳥にしてやる)
オーウェンは心に誓ったのだった。
「大将軍。ビッグゲート手前に全軍布陣完了しました」
「敵は城壁に弓兵3千を待機させております」
「敵は出ては来んのか」
ウルヤナは確認した。
「我が方は5万、敵は1万でしょう。基本は攻城戦になると思いますが」
「よし、魔導部隊を前に出し弓兵を攻撃しろ」
「了解しました」
ビッグゲートの城壁の上で構える弓兵に対して、ホワイテアの魔導部隊が遠距離攻撃をかける。
城壁の上で次々に爆発が起こるが、距離があるのでそんなに大きな被害は出ていない。
弓兵は城壁の影に隠れた。
「よし、奴隷部隊に突撃させろ」
非情な命令をウルヤナは下す。
インディオの奴隷100人が本陣から放たれた。
後ろから剣で追われて必死に城壁の方に走る。
「奴隷のインディオたちが放たれました」
アレクはそれを聞いて変に思った。
「何故だ。こちらに来れば寝返るに決まっているだろう」
ジャンヌが不審そうに言う。
「げっ、おい、魔導反応があるぞ」
アレクは焦って言った。
「な、何だと、彼奴等全員人間爆弾なのか」
ジャンヌも青い顔をした。
放たれた奴隷は100人もいる。それが城壁のしたで爆発したら被害は甚大になるだろう。
それは防ぎたい。アレクもジャンヌも3人くらいなら魔導爆弾を爆発させずに取り出せる自信はあったが、二人で100人は無理だった。
このままほっておいたら、城壁の傍で爆発させられるのは確実だった。
しかし、防ぐために彼らに爆裂魔術を浴びせることは躊躇われた。
弓兵たちも仲間に弓矢を射るのに躊躇していた。
アレクも珍しく逡巡した。
戦術的にはここで爆裂魔術で攻撃するしか無い。
しかし、仲間を殺したアレクらをインディオたちが許してくれるだろうか。
「おのれ、ホワイテアの奴ら許さん」
アレクは歯ぎしりした。
このままでは城壁まで来て破壊される。
「どうする?」
珍しくジャンヌまでもが逡巡した。
その時だ。
「ギョェェェェェェェェェェェェェ」
晴天の空にギャオちゃんの叫び声が響いたのだ。
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