第13話「荒野の町で」
ここは遠い世界。クーデターに巻き込まれまいと砂上船で逃げ出す四人。暫くして最寄りの鉄道駅に着いたのだった。
現在地点 「荒野のオアシスと小さな町」
十三話「荒野の町で」
星彦丸は辺りを見回して言った。
「こっち来るときもこの駅で降りたよね。」
「そうね。ここら辺で列車が来るのは此処だけだからね。」
「ここも何年たっても変わらないねー。」
「では早速何時汽車が来るか聞いてこようではないか。」
一行は駅へと向かった。木造の小さな駅舎であったが風情は有る。中には年老いた駅員が一人、居た。
「おや、お客さんかい。」
「汽車がいつ来るのか知りたいのだけど?」
リリアが優しそうに聞く。人当たりが良いのは良いことだ。
「いやはや、困りましたな・・・。汽車は暫くは来ませんよ。」
「それはどうしてですか?」
星彦丸が尋ねる。こいつも社交辞令に関しては出来る。
駅員は答える。
「実は線路付近のオアシスに「ランスクラブ」(槍蟹)」が現れましてな・・・。」
「そのランスクラブが邪魔して通れないって訳ね!じいちゃん安心して?私たちがやっつけてくる!」
「勝手なこと言ってるけどよお前一人で出来るのか?」
それにリルムは答える。
「何言ってんの?私たち仲間なんだから一緒に戦うに決まってるじゃない。」
「むむっつ、確かにそうかもしれない。」
駅員は話が決まったところでオアシスの方を地図で案内してくれた。
「では気を付けて下さい。ランスクラブは手強いですから・・・。」
「おう!任せとけ!俺がそのダンスクラブとかって奴をやっつけてやる!」
「あれ?あんたそんなキャラだっけ?」
「変身して暫くは頭が冴えてクールになるけど暫く時間が経つとバカになっちまうんだ。よろしく!」
「濃いわね・・・そういう男も嫌いじゃないわ。」
「二面性、面白いと思います!」
「オアシスはここから10分のところに有るしちょっと休んでいきましょう。」
「メシ食おうぜ!」
時刻は既に昼過ぎだった。
駅周辺に出来た小さな町は本当に寂れていた。だが人々の目は優しく、たくましいものであった。荒野の乾燥にも負けないという心意気を感じた。小さな食事処を見つけ一行はそこで食事をとる。
「しまった俺、銭なんてねぇぞ?」
「大丈夫よ。旅で使うお金は私が管理しているの。そこから工面するから安心して?」
「良かった。」
「うちのお姉ちゃんは何でもできる凄い人なんだよ!」
「リルムちゃんは何にも出来ないのか。そうかそうか」
「バカにするな!私だって出来るもん!」
「嘘は良くないよリルム・・・。」
星彦丸は少し残念そうな顔で言った。
「その顔から察するに良くて六十点って感じか・・・。」
「あ、あんまりバカにしたら僕怒りますよ。」
「これはすまない。特に二人は仲良しなんだな。」
それを聞いて二人は顔を赤くした。
「なっ!いい加減にしろ!調子乗りやがって!」
「・・・仲良し・・・。」
話が弾んだ頃、料理が出てきた。その味は素朴で田舎を思わせる良い味だった。
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