第9話「砂漠の皇帝(後)」
ここは遠い世界。砂漠の皇帝の異名を持つ「カイザーザラマンダー」を討伐することとなった三人。しかし流石の皇帝である、びくともしない。だが、そこにロックスターの軍艦がやってきて攻撃を開始した。
その岩肌にも有効な火薬兵器で優勢に立ち回る。
九話「砂漠の皇帝(後)」
六隻の軍艦がありったけの砲火を浴びせる。リリアとリルムは巻き込まれないように後方へと下がる。辺りが濃密な硝煙に巻かれ視界が霞むがその苛烈な攻撃は止まない。
「凄い・・・これが火薬。」
「流石に軍艦六隻相手じゃ私達も手足が出ないわね。」
「仕留めたかな・・・。」
硝煙が晴れる。岩肌がボロボロと崩れ落ち中身が表になる。その肌色は砂地に似ていて強靭な四足と靭尾、何もかもを丸呑みにしそうな大きな口がありそこからは炎が漏れ出していた。そしてあろうことか翼まで生えている。
「あれが真の姿・・・。」
「あんなの勝てっこないよ!」
「いいえ勝てる!だってあの「輝竜」を倒したんだから今回も勝てるわ!」
軍艦はその姿を再認識し攻撃を開始するが皇帝は空を飛び機関砲の仰角外に逃げる。つまり真上に居るって訳だ。そこから艦に降りてきて爆炎で艦上構造物を焼き払う。砂上船は軽量化の為木材で作られている。船はどんどんと焼け落ちて最後には火薬に引火して爆発四散した。一隻がやられた事により艦隊の動きが乱れる。そこを突くように皇帝は攻撃を仕掛ける。艦隊が全滅するのも時間の問題だ。一隻、また一隻と襲われる。
「ヤバくない!?軍隊相手であれって!」
「僕砂上船であの王に伝えてくるよ!もっと艦をだせって!」
「気を付けるのよ?」
「大丈夫、僕って幸運だから!」
星彦丸は砂上船に乗り全速力で王宮に向かった。
「私達も戦いましょう!」
「うん!」
二人は再び接近し攻撃を仕掛ける。
「アイスバレット!炎は効かないのは分かってる!」
「APパンチ!パンチ!パンチパンチパンチ!!!」
しかし砂地の皮膚は硬かった。岩にも似た硬さ、いや、剥がした岩よりも硬いかもしれない。
「痛っ・・・」
「全然効かない!?」
最後の軍艦が焼け、四散する。そして国までの道が一直線に開けた。皇帝はゆっくりと侵攻を開始する。
その目線の先には間違いなくロックスターが有った。
そこを横切る一台の砂上船。星彦丸の乗っている船だ。
二人は青ざめる。
「あれって不味いんじゃ・・・。」
「そんな!バカなことって有るの?逃げてー!」
船は皇帝に背を向け全速力で逃げる。しかし大きな皇帝が走り出すとあっという間に差が詰まり・・・船に火炎が吹きかけられる。死は免れないだろう。
「いやー!死んじゃいやー!」
「こんなことって・・・。」
星彦丸の乗る船に吹きかけられる火炎の息。それをただ見ていることしか二人には出来なかった。ここで終わるのかと思う他無かった。
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