第90話
サマンサさんが、驚いたように俺を見る。
「それって、どの辺りからかしら?」って、尋ねられたので、どこからかを意識してみた。
だが…
「う~ん…
自分の近くだとは思うんですけど…漠然としすぎてますね。
どこって特定が難しいかも…」
そう告げたらな。
「それって、精霊様たちの、お声だと思うんだよ?」って、ミーシャちゃんがな。
!!
精霊様の声!?
だとしたら…なんで、いきなり聞こえ始めたんだ?
俺が驚いて、ミーシャちゃんを見ると、サマンサさんがな。
「たぶんだけど…ミーシャと私が、精霊様の声が聞こえることを、アナタに教えたからじゃないかしら?
なぜ、こんなに好かれいるのか分からないけど、種族的なことだったら、意識したことで覚醒したのかもしれないわ」
そんなことを仰いますがね、いや、これ…ずっと聞こえるの?
ハッキリ聞こえるよりも気になるんですが。
てなことを、思っていたこともありました。
『好き好き大好き超好きテラテラ好き好き猛烈好き過ぎてもう堪らん』
……… ……… ………
好きを連呼する声が辺りから無数に…
なんてカオス?てか、サイコパス?
っか、ホラーすぎて恐いんですが!
「あ~君たち?」
ピタッって、連呼が止まったんです。
逆に、恐いわあっ!
『もしかして…ディサピィルの君が、話し掛けて下さった?』
『マジマジ?超マジマジ?』
『うそ、本当?嘘なの?本当なの?』
うん、大混乱。
っか…
「ストップ!
まずは落ち着こうか。
で、君たちは、精霊様なのかな?」
取り敢えず確認を。
『はいはぁ~い!
樹精霊ちゃんでぇ~す』
『ミント精霊ですの』
『よもぎ精霊なのら』
『梨精………
ちょっ!
「ストップ!ストォ~ップゥ!
なん精霊いるのっ!
つか、終らないからねっ!
代表精霊様は、居ないんですかぁっ!」
サマンサさんもミーシャちゃんも、精霊様のことが分かっているから良いものの、いきなり宙に向かって話し出した俺って、完全に不審者だよなぁ~
『それはぁ~私、樹精霊ちゃんですよぉ~』
なんか、うぜっ!
「分かりました、樹精霊様ですね?」
『そう、樹精霊ちゃんよぉ~』
「そ、そうですか。
それでですね、皆さんに何故か私が好かれている、みたいなんですけど…
なぜなんです?」って訊いてみた。
『えっ?
ディサピィルの君だからだよ?』ってますが?
「いや、そのですね。
そのディサピィルの君って、なんですか?」
訳わからん。
『ん~っとね。
ディサピィルの君の種族だよ』
イライラ…
「それって、私の種族がディサピィルって言ってます?」
『そ言ってよ?』
あ~っとぉ、種族がディサピィルの俺が試練でディサピィルトーカーになって、ディサピィルの鎧を纏ったと?
訳わからんわっ!
「私の種族がディサピィルだとして、そのことで皆さんに、なぜ好かれるのかが、分からないですけど?」
『それやけど、精霊因子を組み込まれた種族やからやね』って、別の精霊様が。
「え~っとぉ…どなた様で?」
『シルフのシルフィーナや。
あんじょう、よろしゅうな』って、応えがな。
シルフって、風の精霊様!?
「あのですね。
精霊因子って、なんですか?」
『精霊の力を封じた因子やなぁ。
魔法文明期にディサピィル種を産み出すために、魔法で創り出された因子や。
なかなか定着化しいひんさかい、ディサピィル種つぅのは産み出せへんてぇなっとったんやわ』
「それが、俺に定着してると?」
なぜ、いきなり定着を?
待てよ?
試練でディサピィルトーカーになったからかっ!
『なんや知らんけど…
あんさんも気付いたようやなぁ。
ディサピィル種っうのが無理やさかい、指輪で無理矢理ディサピィル種を造ろうしはったみたいや。
せやから、ディサピィル種として覚醒前のあんさんが、試練でディサピィルトーカーなりはったさかい、覚醒が促されたやわぁ。
ほんでな、鎧が後押しんなって覚醒やね。
精霊因子ちゅうのは、精霊を惹き付け魅了する力があるんやわぁ。
だから、うちもな、お慕いしとるんやで』てなことをな。
って、風精霊様もかよっ!
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