第36話
任務完了にて休暇となった訳だがな。
流石に今からユンファの所へはな。
あいつも独り暮らしではあるんだが、教会の女子寮だかんな。
むろん男性立ち入り禁止です。
ランラも通常は、ここに住んでいるぞっと。
それにトトもな。
ここの女子寮へはシスターの紹介があれば、教会関係者以外でも住めるんでな。
っか、後先考えずに巨大な建屋を造ったため、部屋が大量に余ったそうでな。
貸し出して賃貸料を得た方が良いとなったそうな。
なんでも、大は小を兼ねるっとか、大きいことは良いことだっ!って、強引に強行したらしい。
結果、教会所属シスター全ての3倍は収用可能な施設がな。
いやいや、あんなぁ、シスター全員が寮に入る訳ではないんだが?
結婚して家庭を持つ者もだが、母子家庭にて世帯者である方もな。
家から教会へ通う者も多い。
だからさ、空室が大量に発生してたんだわ。
今は空室待ち状態で、入居待ちで溢れているらしいのだが…
教会管理にて警備が万全なうえ、家賃が非常に安い。
最新魔道具完備にて個室にバストイレ付きってな。
特に男性立ち入り禁止が最大のメリットらしい。
恋人を部屋へ呼べないデメリットよりも、ドタコンと略される
いやな、世の中にドタコンとシスコンが溢れてるって…複雑だ。
っかな、駆け込み寺女子寮の要望が高まり、新たに女子寮を建設中なのだとか。
一部の男性達にて建設反対運動が行われていると聞く。
まぁ、動機がなぁ…
完全に黙殺されているそうな。
んでな、ユンファは駆け込み組だったりする。
父親がドタコンで、兄と弟の1人がシスコン。
もう1人の弟は父親と兄弟2人にドン引きにて、母親と協力してユンファをフォローしているらしい。
ちなみにユンファいわく、その弟はマザコンらしいぞっと。
世の中には色々とコンプレックスが溢れてるようだな。
俺?俺はユンファ・コンですが…なにか?
まぁ門限が厳しく、外来者訪問の時間も定められている女子寮へ、今から行ってもなぁ。
ユンファを呼び出してくれる筈もないかんな。
っても門限破りの常習者であるユンファのことだ、どこかで外食中である可能性もな。
行動範囲が広すぎて探せんがね。
だからアパートへ帰り自室へとね。
鍵を開け…んっ?開いとる?
空き巣か?
盗られるような代物は置いてないんだがな。
貴重品は全て亜空間倉庫だし。
もしかして、待ち伏せかっ!
人の気配がな。
用心しつつ扉を開ける…
したらな。
ユンファが待ち受けてました。
「ちょっ、ユンファ。
なんで、ここに
門限すぎてっだろうが!?」ったらな。
「えっ?
この前のデートで、合鍵作ってくれたから、一緒に住むって思ってたんだけど?」
こ、こいつ…
デート中に閉め出されていたことを問題にしてきてな、半ば強制的に合鍵を作らさせられたんだわ。
っか…既成事実狙ってそうで恐いんだが?
いやな、ユンファと所帯持つのは構わんのだよ。
ただな、ユンファの父親と兄弟がな。
特に父親と兄が問題。
父親は教会のお偉い様なんだが、そちらは良い。
司祭様だが、フリーランサーの俺に、その手の権力は無意味だ。
最悪、他国へ流れるかんよ。
でな、何が問題かてぇとぉ…2メートル超えの巨体を誇るゴリマッチョさんでな。
「娘が欲しければ、儂を超えて逝け」が決まり文句なモンクさんでもある。
その巨大なハンマーみたいな拳は、岩をも粉砕する。
鋼のような肉体は、下手な金属鎧よりも強固なのだとか。
んでな、ユンファと付き合いたければ、河原でド突き合いのうえにて、勝たねばならぬと?
いや、死ぬからね、俺。
斥候職の俺は、攻撃力も防御力も高くない。
そんなゴーレム真っ青なモンクと、ガチのタイマンって…ミンチになるわっ!
ちなみにユンファ兄は教会騎士さんです。
剣技に優れた強者とのこと。
こちらは剣を交えて超えて逝けと。
いやね、お2人さん。
行けの字が、おかしいんですが?
ユンファいわく、合ってるらしい。
………殺る気、満々やんっ!
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