邪神大戦

綾野祐介

序章

第1話 揺らぎ

 それは唐突に起こった。

 ただの揺らいだだけだ。

 無だったはずが、ただ一瞬揺らいだ。

 それが全てだった。

 全ての始まりだった。


 次の瞬間には膨大になっていた。

 ただ膨大になっていた。

 何者も追いつけない速さで膨大になった。


 そして急に晴れ渡った。

 混沌から秩序に向かい始めた瞬間だ。

 温度は徐々に下がり始めていた。


 その中心にあった。

 認識できない存在。

 可視化できない存在。


 ただ単純で膨大なエネルギー。

 ただそこに存在する膨大な質量。

 始まりはそんな単純な事だった。

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