第20話理事長(2)

 理事長室に入ったセレーネは、室内で高そうな椅子に座っている人物に声をかける。


 「理事長、例の人間を連れてきたわよ」


 セレーネ、結局理事長にも同じ口調で話す。

 

 「これはセレーネ!ご苦労様です」


 そして、案の定セレーネ対し敬語を使う理事長。

 この世界の理事長の立場が弱いのか、到底生徒に使う言葉づかいではない。

 そんな理事長に、理事長室の扉を開けてくれた人が、数枚の紙を持って理事長へと近づく。


 「理事長、こちらが資料になります」

 「うむ、ご苦労。下げってよいぞ」


 どうやら、理事長は偉いらしい。

 そんな、当たり前のことを再認識する凪。

 理事長が真っ白な髭をいじりながら、資料に目を通す。

 資料に目を通す理事長は、動画とかでよく見るバーテンダーのようなダンディ感が漂っている。

 きっと仕事もかなりできるのだろう。

 渡された資料をものすごいペースで目を通す。

 一通り資料に目を通した理事長は、椅子から立ち上がり、凪の方へと近づく。

 少し緊張する凪だったが、その緊張をなくすぐらいの優しい顔で理事長は言う。


 「君が霞原凪だね。セレーネ様から事情は聴いている。立場上、過ごしにくい環境かもしれないが、頑張ってくれたまえ」

 「は、はい」


 理事長の言う環境とは、噂のことだろう。

 正直、そんな噂なんて気にもしていない凪。

 噂のおかげで絡まれることが減るのなら、凪にとっては都合がいい。

 噂万歳なのだ。


 「それじゃあ、理事長はまた放課後に。私の教室に向かうわよ」


 セレーネが理事長に背を向け、理事長室を出る。

 凪もセレーネに付いていく。

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