第37話 刺突/襲撃

第37話


その後、俺は帰る事になった。


今回の訪問は色々と起きすぎた。


初めての訪問…


お義母さんと義弟くんとの初めての邂逅…


母娘で行われる生々しい会話…


…うん、最後のだけアレだな。


「しかし、良かった…」


和解?解決?


どの言葉が適当なのだろうか?


俺にはよく解らない。


それに、まだお義父さんには会えていない。


そうじゃなきゃ、本当の意味では何とも言えない筈だろう。


「俺も人の事は全くもって言えないが、遥かも大概難儀だな…」


家族の事と、あのストーカーになりかねない幼馴染の事。


数こそ少ないが、どちらも根が深い問題だ。


「はぁ、俺も頑張らないとなぁ…」


彼女だけに負担をかけさせられない。


唯でさえ、俺の周囲が負担の塊みたいな奴等ばかりなのだ。


ここら辺は俺の自業自得というか、甘い部分もあるんだろうけど…


「まぁ、何とかするしかないか!よし!早く帰って、晩ごはんを作るぞ!」


気合を入れ直し、前へと進んでいく。


だから、気が付かなかった。


「えっ…」


腹が…熱い?


…………いや、痛い。


痛い痛い痛いいイタイいたイいタイイたいいタいいたいいたいたいいたいいたいいたいいたいいたい!?


「がはっ、な、何が…」

「お前のせいだ!お前のせいで!」


雑音が頭に響く。


痛みのせいで視界が歪み、目の前の人物が誰か解らない。


「…誰だ、お前?」


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????side


俺は絶望の中に居た。


俺は見てしまったのだ…


「何で、アイツが遥の家に…」


一緒に入る所を見た。


手を繋いで、まるで共同作業をするみたいに。


許せない、そこは俺の場所の筈なのに…


だから、俺は…


「お前のせいだ…」


俺は懐に入れたを強く握った。


決めた…


今日、此処でアイツを消す。


生まれた事を後悔させる位、徹底的に…


「来い、早く来い…」


俺は待った。


ひたすら、待ち続けた。


待ち続ける間、流れる時が止まったかの様な永遠を感じた。


だが、それも終わりが来た。


…奴が来たのだ。


だから、俺は怒りを込めて…


「えっ…」


刺した。


思いっきり、刃物を腹に捩じ込んだ。


奴は何が起こったのか解らないのか、呆けた顔をしている。


…腹が立った。


「お前のせいだ!お前のせいで!」


苛立ち紛れに、刺した刃物に力を込めながらそう叫ぶ。


これで、奴は死ぬ。


即死しなくても、出血多量で死に陥るだろう。


じゃあな、クソ野郎…


…遥を取ろうとした報いだ!


続く

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