第33話【自分の性格】

やっぱりだるい。熱もないし血液検査でも異常はない。

なんなんだろう。このだるさは。

どういうわけか倦怠感や疲れやすさが一向に抜けなかった。


職場の人からは「体が怠けてるんじゃない?」とか「大きい病院で診てもらいなよ」などと言われた。


僕が頭に浮かべていたのが【癌】だった。

ネットの検索窓に自分の症状をいれて検索すると【癌】の可能性が出てきた。


それから毎日体重を量るクセが付いた。

「癌の時は体重が減るってゆうし、大腸癌の時は血便が出るってゆうしなぁ~」などずっと考えていた。

それから便をしたら流す前に必ず見るクセまでついた。


そんな時ふと思ったのが中学生の時に習った【HIV】や【AIDS】が急に頭に浮かんできた。

「この可能性もあるか。後天性免疫不全症候群というくらいだから自分の免疫が落ちてきている?だから熱がでた?だから疲れやすい?」と【HIV】と【AIDS】の知識はとっくに忘れてしまっていた。

そんな浅はかな知識で勝手に思い込んでいた。

ただ、治らない病気というイメージがあまりにも脳に焼き付いていて急に怖くなった。


考えだしたら悩みが解決するまで考えてしまうのが僕の性格だ。


早速、保健所に電話をして検査を受けることにした。

【HIV】の検査を受けるつもりで来たのだが、そこでは同時に【梅毒】の検査を無料でやってくれた。


それから何日か待って直接保健所に結果を聞きにいかなければならなかった。

陽性であれば別室でお話します。と言われた。

匿名性を守るため仕切りで区切られていて、他の人に見られない様に配慮がなされていた。


結果は両方【陰性】だった。ホッとした。


「じゃぁ、このだるさは何なんだろう?」

と考えながら体にムチを打つように働き続けた。


そして数か月の時が流れた。


僕も26歳になった。

なんとかやってます。みたいな生活が続いていたが仕事は順調で楽しかった。

職場でもリーダー格や責任者まで務めさせてもらってやりがいも感じていた。


そして何よりビックリなのが正式に付き合っているわけではないのに、由紀ちゃんの家にまだ居ることだった。


そんなある日から、由紀ちゃんが体調を崩す日が多くなった。

食欲がなかったり、急に吐きそうになったりしていた。

今までそういう由紀ちゃんを見たことなかったのでかなり心配した。


「大丈夫?最近全然食べてないよ?病院いく?付き添うから。」


「自分は病院行かないのに人には行けって言うんだ。」


「いや、そういうわけじゃないけど。結局俺も行ったじゃん。」


「そうだね~。少し様子を見て限界が来たら行くよ!」と言った。


だがこの時、彼女は僕に隠していた。自分の身体に何が起きているかを。



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