第13話【続・再会】
それから数か月後。
『来週末行くからね。』と伝えると『分かったよ。お父さんも呼んでおくね。』と言い、母と父が離婚して初めて父に会うこととなった。
そして当日。
『久しぶり』と父が言う。
『久しぶり』とだけ僕も返す。
二人は感動の再会と言うよりは、かなり照れくさい再会だった。
それからこれまでの父の生活を聞いたり、僕の今までの生活を話した。
父は新聞配達とコンビニの仕事をあれから3年続けたらしい。
これにはかなりビックリした。
僕もこれまでの生活を話すと父は申し訳なさそうな顔をしていた。
すると鞄から封筒を取り出した。その中にはお金が入っていた。
僕が20歳になったら渡そうと、祖母と父が貯めておいてくれていたらしい。
『大切に使いなさい。』
『ありがとう。』
そして、その日初めて父と一緒にお酒を飲んだ。
その時、父が涙した。
『お前とお酒を飲む日が来るのを本当に楽しみに頑張ってきた。』
父の涙に僕ももらい泣きした。
こうして再会を誓い父と祖母とお別れした。
『またいつでも連絡して来いよ!』そう言いながら連絡先を交換した。
僕はもらったお金を使い、海外でバックパッカーをしようと計画を立てた。
そのバックパッカーで経験したことを活かして、起業しようとも考えていた。
そして、その資金を増やすためにバイトを3つ掛け持ちした。
体力に自信があった僕は余裕でこなし、お金を貯めていった。
そんな生活の中、訃報が相次いだ。
大親友のお父さんが亡くなった事。
離婚する前に同じマンションだった、年下の友達のお母さんが亡くなった事。
小学校の時よくお泊りしていた友達のお父さんが亡くなった事。
僕のお父さんもそうだが、50歳にも満たずなくなる人が多かった。
人間50年・・・・という言葉に続きがあるのか知らないが、この時くらいから25歳が人生の半分だと意識するようになり、以前よりも死に対する恐怖が増したり、命について考える時間が増えていった。
そして僕も全く思い描いていなかった人生を歩むことになるとは、この時思ってもいなかった。
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