第244話 244.トレノア城塞都市のとある協会
◇◇◇◇◇◇◇◇
エデンにレイアード城塞都市の領主家族達が滞在していた頃、トレノア城塞都市の旧領主館の近くに立つ石作の立派な彫刻を施された神聖な建物が建っていた。
麻で作った服が一般的なこの世界で朝を真っ白に染めた神官服を纏った裕福そうな男女が深刻そうにトレノア城塞都市の中を眺めている。
「ダニエル様トレノア城塞都市の領主一家がエデンに打ち取られてから一人もこの聖ドニアス教会に礼拝に来られませんがどうしたのでしょうか?」
「レイチェア私にも全くわからんのだ・・
ドニアス神様からの信託もここ1か月降りていないのだ
何かが起きているとしか考えられん」
「ドニアス神様からの神託も居りていないのですか。
今までのお布施や治療費として集めたお金が有る程度は有りますが・・・
そろそろ聖ドニアス教会本部の塩販売部隊が来て本部費を徴収してゆく頃です。
今回本部費を払ってしまいますと残りはわずか・・・
このままお布施も、治療代も入らなければ私達は飢え死にしてしまいます」
「もう聖ドニアス教会本部の塩販売部隊が来る季節になったのか、一年が経つのは早いものだなレイチェアよ」
「時の経つのは早い物ですダニエル様私もラドスの城塞都市を出て早5年経ちました」
「ラドスの城塞都市か・・・懐かしいな儂などラドスの城塞都市を旅立ってからもう30年が経ってしまい、こんな老いぼれになってしまった」
・・・
・・・
10分が経ち・・
・・・
・・・
4時間が経ち・・
それでも誰もこの聖ドニアス教会を訪れる者は居なかった
心配になったレイチェルは
「ダニエル様毎日毎日誰も礼拝に来ないというのは余りにもおかしゅうございます。トレノアの城塞都市の街の中で何か有ったのか聞いて来てみましょう」
「そうじゃな・・こうしていても事態は好転しそうにないしレイチェル頼めるか」
神官長のダニエラに許可をもらうとレイチェルはまず領主館の方に足を向ける。
レイチェルは領主館の方向に歩きながら・・・
「戦闘が本当にあったのだろうか?」
エデンの侵略を受けて戦闘が有ったと思われるのに全然変わりない風景につい独り言を言ってしまうレイチェル
違うと言えば・・
『領主館が全く新しく建て替わっている!!』
それも見た事も無い透明な素材で囲まれた建物で建物の中まで見える
そうして・・・
領主館の前に建てられた大きな掲示板に目を移すと・・・
『税金の一時廃止』
『徴兵制度の廃止』
・・・
・・・
そんな記述が続き
『治療院』
無料で病気を治療致します。
何方でも気軽にいらしてください。
「な・・・・なんですか~~~~~!!治療院~~!!それも無料だなんて噓でしょぉ~~!!」
レイチェルは掲示板に記載された内容に思わず叫んでしまっていた事に気づき自分の口を押えながら辺りを
『きょろっ』
『きょろっ』
っと見回し、自分に注目していないと解ると胸を撫でおろした。
これはヤバイ!!
うんうん、外から見れば、独り言をブツブツと言いかなり怪しい人に見えていた事だろう
街の中を回って情報を仕入れよう!!
レイチェルはそう思い街に向かって歩き出す
すると立ち話をしていた集団に出くわしたのでそっと聞き耳を立てるレイチェル
「エデンのレイ様は女神様だな」
「めちゃくちゃ綺麗だし。俺の母親は女神様の力で直して貰ったぞ
母親の体がふわって光ったと思ったら病気が完全に治ってたんだ!!
おれんちだけじゃねえぜ!!
家々を一軒一軒まわって病気の人が居ればうちでやったように治して、出兵で戦争で家族が死んだ家には一時金を出したって言ってたぜ!!
トレノアの領主一家を一瞬で抹殺してしまったって噂だが、トレノアの民衆を救ってくれる為にやったってもっぱらの噂だ
領主一家が居なくなって、税金も出さなくて良くなったし、出兵の義務や城塞建築に駆り出される事も無い
困っている人々には食料も配給してくれるし仕事も斡旋してくれる。
皆生活が良くなったって喜んでいる
トレノアの領主館で家令をしていたイアン・ヘッドリーの爺さんと妻エイラ・ヘッドリーのよぼよぼ婆さんだが女神様に若返らせてもらってよ~
奥さんのエイラなんてピチピチのボン・キュウ・ボンのナイスバディな体にしてもらってよ
超~美人になってめちゃめちゃエロいんだぜ!!
なんでも結婚して50年子供が出来なかったらしいが、妊娠したって言ってたぞ!!
もう
『女神様の御業』
だろ?」
「すんげぇよな~俺も見たぜ!!家令の嫁さんのエイラっのあの体ってヤバいよな!!
あれで発情しないなんて無理だぜ!!
俺なんてあの悩殺ボディー見ただけで一発でバッキンバッキンになってしまったぜ!!
旦那のイアン・ヘッドリーも嫁さんのあの悩殺ボディーに陥落したか」
「羨ましいよな~」
「全くだぜ~女神様、俺の嫁も若返らせてくれないかな~」
「お前死ぬぞ」
「何でだよ?」
「嫁さんのエイラはお顔ピカピカなのにイアン・ヘッドリーは死にそうな顔で歩いてるってよ」
「そこまで搾り取られてるのか~」
「らしいな」
・・・
耳をそばだて聞いていたレイチェルは信じれない言葉ばかりの話に疑問を持って、色々な所を歩きながら耳をそばだて聞き耳を立てて人々の噂話を聞いていたが、皆だいたい同じ噂話だった。
レイチェルは『ゴブカラ』と書いて停めている屋台で銅貨5枚を払って『ゴブカラ』を買いながら販売している男に
「女神様が居るって話だが本当ですか?」
と聞いて見ると
「あ~あのエデンの領主様か~あ~あの領主様は本物の女神様だな!!
トレノアの城塞の外に新たに5キロの城塞を一夜で築いて溢れていた魔獣も殲滅したんだ!!
それに一瞬で小麦を民衆の前で実らせた。
そんな方を女神様じゃないってアンタは言えるのかい?
あいよ『ゴブカラ』出来上がったよ!!」
渡された『ゴブカラ』を一口食べ
「おいしいぃいいいいいいいいいいいいい~~」
と声を思わずあげてしまうレイチェル
「だろ~その『ゴブカラ』も女神様が開発した食べ物だぜ」
それを聞いて『ゴブカラ』を包んだ葉っぱごと落としそうになり慌てて手で押さえるレイチェル
とぼとぼと聖ドニアス教会に帰って神官長のダニエルに報告するも信じて貰えなかったレイチェル
「何をレイチェルはバカな事を言っているんだ!!気でも狂ったかレイチェル!!」
と口にしながら翌日、神官長のダニエルがトレノアの街に繰り出すのだが・・・
つづく・・・
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