第3話 和也side俺の同室の男

新学期が始まってゴールデンウィークが終わった頃、俺の同居人が現れた。

何でも交通事故で怪我して入院してたらしい。運がないやつ。


新学期始まってしばらく1人部屋だった俺は手頃な相手を何度か連れ込んでた。


ベッドの相手なら丁度いいし、所詮暇つぶしだ。相手だって俺だけじゃないし。穴さえあれば男でも関係ない。

丁度そんな相手と部屋に入った時に、同居人は顔を覗かせた。



部屋割りが発表された時に、名前は聞いた事があるなと思ってた。

暇人の仲間らが聞いてもないのに俺の同居人情報をペラペラ喋っていたのを聞くとも無しに流し聞いた。


顔は結構綺麗だけど、性格が最悪で話しかけてもシカトすると。成績はやる気がないのに優秀らしい。でも不思議なオーラがあるので、皆一目置いてるとか。


その時は何か聞けば聞くほどやな奴だなと、興味が湧かなかった。



コレがそのケンケンとか陰で言われてる奴か。

確かによく見ると綺麗な顔をしてるかも。髪はちょっと長めの癖のある明るい茶色で利口そうな額が見えてる。

涼やかな目元とぽってりした唇のアンバランスさがどこか艶かしい。

身体は華奢だが、運動が出来そうな感じだ。確かに人の目を惹きつけるオーラがあるかもしれない。


そんな不躾な目で見てると、頬を薄ら赤くして自己紹介し始めた。

なんだ、結構普通じゃんか。シカトされるかと思ったけど。


俺は余計な事まで言ってしまって、逃げるように部屋を出た。


部屋に戻ると時々うめいたり、ぶつぶつ言ってた気がするけど、まぁ気にならなかった。噂ほど嫌な奴じゃなければいいけどな。



*************



僕は次の日、意気揚々と心の友ちんたま君と部屋を出てモーニングを食べに行った。同室の林和也は特に誘わなかった。同室なのにボロが出るのは嫌だったし、距離を置こう。うん。


昨夜イメージトレーニングをしたので、僕はすっかり男子仕様。健斗の俺様キャラでいこう。


相変わらず食堂ではチラッと見られるけど、俺様健斗なら気にしないだろうと、トレーを持って並んだ。うわぁ~マジで美味しそうなんですけどー。2年間海外にいたせいか、日本の食材懐かしいんですけど!

今日は日本の朝食な訳ね。最高っす。


僕は思わずニヤニヤしてしまって、健斗の俺様仕様を思い出したように装着して無事モーニングミッションを終えた。


しかし去年在籍してたのに誰も話しかけてこないなんて、やっぱり健斗嫌われてたな。ザマーミロ。




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