第30話巨大地下都市バーボ
広大なリンデンバング共和国を越え、更に高い山脈を越えた先に火山から煙がモクモクと出ている風景に出くわす。
そんな火山の麓に大型ヘリが高度を下げて到着。
大型ヘリをボックスに回収して、ここからは徒歩で向かう。
「火山のせいかしら、地面が暖かいね」
「あれがそうなの、こんな所で住むドワーフは凄いと書かれていたけど、もっと具体的に書いて欲しいのよ」
「それなら、君らで旅行記などを書けばいいと思うなーー」
「それは、いい考えよ。旅を知らない領民に世界を広く見せるのも、わたしらの義務よ」
「するとシランが書くの?」
「いやいや、わたしは編集をして出版を行なう担当。ララはカメラ担当。ユナが書く人でアッキーが取材担当ね」
「え!わたしが取材なのそれに何、勝手に決めてるの」
遠くからでも巨大地下都市バーボの、巨大な洞窟が見えていた。
洞窟を守る堅牢な壁が建ち並び、巨大正門には貿易商人の馬車がずらりと並んでいる。
「結構待っているのに遅いね」
「やはり武器を買う為にきてるのだろ」
「わたし達と同じね」
ようやく俺達の番になり、サルトル商館から受取った手形を見せる。
門番は、俺より低くでっぷりとした腹をだし、手と足は太く筋肉質で顔半分下は髭でおおわれている。
視線を下に向けて話すが、相手の目が前髪で見え難く毛むくじゃらと話しているみたいだ。
『サルトル国、知らん国だな。保障国の印があるからいいだろう。通れ』
「え!【会話君】を起動してないのに言葉が分かったの」
「ああ、勉強したからな」
勉強などしてない。
自然と言葉として話せるし・・・聞き取れる。
異世界通販の恩恵のせいだろう。
「わたし達に黙って勉強なんて、今度は必ず参加させてね」
洞窟内の階段を下りて行くと空気の流れが少ないせいで、外より温度が高くなり暑く感じる。
俺は上着を脱いでその暑さをやわらげて、タオルで汗を拭う。
「暑いわ。どうにかならない」
そんなことを言いながら、扇子であおぎ暑さをまぎらしながら、ぽっかりと開いた洞窟内を見上げている。
ララはそんな一行を動画モードで撮り続けている。
下を見ると人工的に掘り出した円形状の穴が、底が見えない程深くまで伸びている。
アッキーはユナの手を引張り、その穴を見せようとするがユナは首を必死に振り拒絶。
「ユナ、本当に凄いのよ。このことを記事に書かなきゃダメよ」
「ララが動画で撮ってたでしょ、あとで見るから大丈夫・・・ダメダメ引張らないで」
「あの大型エレベータに乗れば良かったな。この案内板によると武器店は地下10階だよ」
ようやく地下10階に来れたが、下るだけなのに額には汗がにじみ出している。
彼女らの服装もあられもない程、肌を露出させて扇子をあおぎまくっている。
「何だか喉が渇いたわ」
それを聞いた途端に俺も喉の渇きをおぼえた。
ボックスから冷えたリアル〇ールドを取り出すと、彼女らは奪うように取り飲みだした。
「ああ、冷えていて美味しい。なんだかあの気だるさが嘘のよう」
「トニーさま、もう1本下さい」
「飲み過ぎると鼻血がでるぞ。飲みかけの半分だ」
「ありがとう、気遣ってくれて」
ユナのそんな素振りを呆れた顔でアッキーは見ていた。
「この穴が商人が書いていた両替商がある所ですね」
大きな穴から更に人が、4人で通れる穴が伸びていた。
その穴には数字が書かれ識別出来るようになっていた。
入って行くとナイフのみ売っている店や、一般的な武器を売っている店など色々売っている。
「あれですね両替商は、思っていた程小さいですね」
看板にコインの2枚の絵が書かれ、矢印で互いに指している。
店でレートを聞いて、彼女らが充分買えそうな分を両替をすませた。
均等に渡すと買い物に行こうとするので、「ここで待っている」と言うや走るように行ってしまう。
前に付き合った買い物で、懲りた俺は彼女らと離れて休憩を考えていた。
この店は、本も売っていたので時間潰しには持って来いだ。
そこに興味深い本を見つけた。【人と亜人族】のタイトルで内容も面白いので買い。
店内に用意されていた椅子に座り読みふけっていた。
ノームと言う種族は、農業に特化した種族で、大人でも1メートルしかなく。
太古の時代に国は、他の種族によって滅ぼされていた。
ある者は流浪の民として、国々に行き季節の農業労働者として生きながらえている。
それと違う道を選らんだ者は、不毛の土地で国を再度建国して生きながらえている。
不毛の土地をノームの能力で耕すが、やはり不毛な為に育ち具合がよく無く自国のみの消費する収穫量だけであった。
ドワーフのことも書かれていて、巨大地下都市バーボの地下は50階層まで伸びている。
その50階層でドロドロに溶けた金属を取り出していた。
精錬方法は秘密で純血種のみがその作業を担っている。
純血種の特徴は赤毛であることで、赤毛のアッキーを見る目が違っていた理由がようやく分かった。
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