第923話 あれ? おかしいぞ!
シエルたちは海底ダンジョンに行ってしまった。まぁ腹が減ったら帰ってくるだろう。それに、あのダンジョンでも、食料品はドロップするからな。特に問題はないはずだ。
帰り道にダンジョン監視室へ寄って、スプリガンの皆に海底ダンジョンに入っているシエルを含めた、亀たちも見張っておいてほしいとお願いしておく。
しばらくシエルたちの様子を見ていたが、問題なく戦闘出来ているようなので安心した。特にアーマータートルの壁の安定感がすごかった。見たまま、本当に壁! といった感じだったのだ。
水中で多い噛みつき攻撃に関しては、まず甲羅が大きすぎてかむ事ができない。噛みつける手足は、噛みついてもダメージがない上に隙を見せてしまうため、いつの間にか近寄ってきたデッドリータートルの毒舌攻撃でお陀仏。
召喚したばかりだからと言っても、シエルが指揮しているのだから何の問題もなさそうだ。何かあればシエルが助けに入るだろうし、回復役のヒールタートルだっているからな。
妻たちにも、フィールドダンジョンについて話をしておきたいのだが、まだまだ時間があるな。する事も無いので、ダマを連れてスーパー銭湯にでも行くかな。自分の家のお風呂もいいけど、大きなお風呂も好きだからな!
あ、家の従魔たちに関しては、普通にスーパー銭湯を利用している。きちんと入場料を払って入っていくのだ。結構気に入っているみたいで何がいいのかと思えば、ここに来れば誰かしらに体を洗ってもらえる事を覚えてしまったからだ。
あいつらは基本的に俺に洗ってもらいたがるが、俺にも限界がある事は理解してくれているようで、妻たちも忙しければ洗ってくれる人がいないのだ。
なので思いついたのが、スーパー銭湯で可愛らしく振る舞って洗ってもらうという作戦らしい。ダマに聞いた時は頭を抱えてしまったが、住人たちから苦情が無いので今の所は放置だな。
2時間程スーパー銭湯を楽しんでいたら、何処から現れたのかいつの間にかニコたちスライムズが至る所にいた。スーパー銭湯に来ていた小さな子どもたちから大人気なニコたちは、子どもたちに無駄に綺麗に磨かれてピカピカしている。あいつらって、磨くとあそこまで輝くのか? 今度試してみよう。
ダマとスーパー銭湯を楽しんだ帰り道、ダマを肩車して歩いている。小さいフォルムだと何となくしっくりくるので、俺的には結構アリなんじゃないかと思うこの輸送方法。でも可哀そうなのが、頭の上にはニコが乗っているので、ダマの顔がニコに埋もれているという点だろう。
腕に抱えようにもハクがいつの間にか来ていたので、残る場所として肩車になったわけだが、歩かせればいいんじゃね? とも思わなくないが、たまにはこんなのもいいだろう。それより、俺の後をピカピカになったスライムたちが列になって、追いかけてくるのは何なんだろうな?
家に着くと夕食の時間になっていた。夕食後に今後の事について話があると言ってから食事にした。
夕食後には、チビ神からあった連絡によって、ダマとシエルの御同類がヴローツマインの南の海上にある島に、存在していることが分かった事を伝える。
その島もフィールドダンジョンとなっており、話を聞く限りではかなり大きな島という話だった。そして、そこに行って朱雀も仲間にしたい事を話すと、みんな呆れた顔をするが仕方がないよね? といった表情に変わる。
とりあえず、俺のしたい事をみんなが理解してくれた! 嬉しい限りだ! っと思ったのだが、思わぬ方向に話が脱線する。
「で、シュウ。その島をどうするつもりなの? まさか行って朱雀を捕まえたら、終わりって事じゃないよね?」
「その島の資源ってどうなってるんでしょうね? どれくらいの食料があるのかしら?」
カエデが島をどうするかといった発言に、ミリーが島の考察を始めたのだ。
「問題は、どれくらい魔物が強いかよね。樹海クラスの魔物の強さだと、さすがに一般の冒険者には開放できないわよね? それに、火山帯のフィールドダンジョンっていう話なら、鉱石にも期待できるかもしれないわね。魔物の強さ次第だけど、ヴローツマインも協力してくれそうね」
リンドがまだ見ぬ島に自分の街だったヴローツマインが、食いついてきそうだと話を広げてきた。
「3人の言いたい事もわかりますが、その島までの距離が気になります。海の中にはリバイアサンクラスとは言いませんが、かなり大きな魔物も生息しています。船でも予想以上に大きな魔物に対しては無力ですから。距離次第では、橋を架ける必要があるかもしれませんね」
おい、ピーチ! 距離がどれくらいあるか知らないけど、さすがに橋は……ん? ダンジョンマスターのスキルを使えば出来るか。
「ピーチの言いたい事は分かるけど、食料の事を考えれば島の近くを埋め立てるか、フィールドダンジョンの一部を切り取って、畑を作らないと何かあった時に対応できないわよ?」
食事の事で一番苦労しているシュリからピーチに意見が飛ぶ。
妻たちの間で、島の扱いについてどんどん話が進んでいく。おかしいな、俺はただ朱雀を捕まえに行きたいって言っただけなのに、いつの間にか島をどうするかという話になり、ヴローツマインから海岸までの移動方法の検討まで始まっている。
そして海岸付近にもある程度の街を作らないと、冒険者が移動する時に大変じゃないか? という話になり、新しい街を作るとなったらどういったコンセプトで作るのか、どの位の規模の街を作るのか? そういった議論まで始まってしまった。
そして気付いたら、食堂の中にグリエルとガリア、2人の息子であるモーリスとテオ、そしてゼニスまで集まってきていた。
まだ島の状況とかも分かってないのに、そこまで話し合う事が必要なのだろうか? 思わずみんなに突っ込んでしまったが、俺がする事なのできっといい方向に話が進みます! と希望でも予測でもなく、断言されてしまった。
確かに豪運先生達が仕事をしてくれて、都合のいい方向に進む事が多いけどさ。
それに、グリエルとガリアが、息子たちにまかせるにはちょうどいいのでは? と話がとんとん拍子に進んでいくのだ。他にも商会に預けている俺のお金を消費するにはもってこいだと、ゼニスまで乗り気になってしまい、強権でも発しない限り収まりそうになかったので、遠い目をしながらダマをなでていた。
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