第105話 リーファスの改革
男爵の屋敷からの帰り道、収支報告の件と男爵と嫡男の矯正について聞いてみた。
収支報告に関しては、バカじゃないのかと思う程の項目しかなかった。だって、収入と支出の二項目しかなかった……バカだろ! もう一度いうけどバカだろ!
俺はその詳細がほしいって何度も言ってるのに! 何にどう使ったかがほしいのに、二項目だけとか舐めてるだろ! 聞いた瞬間に屋敷へ戻ろうとしたが、シュリに止められた。
「ご主人様、僭越ながら私がご主人様の代わりに、家臣たちの頭を鷲掴みにしてきましたので、戻られる必要はないです」
おぅ、シュリに鷲掴みにされたのか、潰れてないよな? 俺よりステータス上は結構上だからな。まぁピーチもいたし完璧につぶれない限りは問題ないか。
家臣たちには一日毎に何に使ったかを、毎日細かく帳簿をつけるようにいい、戦争後から今日までのは、給金(個人毎)・食費・移動費・交際費・雑費位でいいので明日来るまでに、作成するよう言い聞かせてきたらしい。
今回は日々の細かい出費は雑費でまとめるが、きちんと領収書みたいなものを作成するように伝えたとの事。
ふむ、どこから得た知識かわからないが領収書がない世界で、どうやって作成するのだろう? 疑問になったので聞いてみたら、買った場所でいくら使ったかを記入して、両方のサインをしたものがあるので、それを帳簿に張り付ければいいと教えたらしい。
それってごまかせるんじゃね? と思ったら、釣りの一環らしい。正確には問題ない貴族なら正確にやってくれるが、問題のある貴族なら必ず抜け道を探すことを考えて採用した方法らしい。
商業ギルドなら店の情報があるから、相違があれば一発アウトですよ、みたいなことを言っていた。逞しくなったな……
そういった知識はどこで覚えたんだ? 普通に考えて俺の趣味部屋のコレクションの中か? そんなのあったっけな?
みんな流石にもう眠そうな顔をしていた。借りた家に着くころには、年少組はまぶたが閉じそうになりながら歩いていた。
でも食事をとっていなかったので、軽くでもいいから食事した後に風呂に入って寝るように伝える。若干フラフラしながらみんなで食堂に向かっていく、それを追いかけて俺も食堂に向かう。
この時間にがっつり食べるのは良くないと考えたシルキーたちは、オニギリとみそ汁を準備してくれていた。その中でシュリだけは、がっつり食ってたけどね。
みんなの食事が終わってお風呂に入りに行ったのを見届けて、しばらく仮眠するから風呂から上がったら起こすように、シルキーたちにお願いした。
俺のお風呂も終わり寝る部屋に入って違和感に気付く。部屋が広いのはわかるが寝息が沢山聞こえている。みんながいるようだ。しかも俺が寝る場所だろうか? デカいベッドの頭側の中心に、ぽっかりスペースが空いている。
俺が入ってきたのに気付いたようで、ピーチがみんなを起こして俺の寝る場所に誘導してくれた。眠気が勝っていて、一緒に寝ることに全く抵抗がなかった。
朝目が覚めると、ベッドの上には俺一人だった。時計を見ると十一時を過ぎていた。寝たのが五時過ぎくらいだったから六時間位寝たのかな。みんなは何時ころに起きたんだろう?
お腹が空いたので食堂へ向かう途中で、娘たちが家の掃除をしているのをみかけて声をかける。俺が起きてなかったので、食事はちょっとしたお菓子を食べてから掃除を始めたらいい。
俺の事を待ってなくてもいいのにと思ったが、すごい剣幕でご主人様より先に食事は食べれないと言われてしまった。お菓子はいいのか?
娘たちから、奴隷の身でありながらご主人様と同じものを食べさせていただけるだけでも、感謝しなきゃいけない事なんですと言われてしまう。確かに身分的には奴隷だけど、俺はお前たちを奴隷だなんて思ってないと怒り返してしまった。
少しトラブルはあったが、娘たちに掃除をやめて食堂に来るように伝言してもらい食堂へ向かう。時間的には昼に近いが、シルキーたちはいつもの朝食と同じようにビュッフェタイプの食事にしてくれていた。
昨日の夕食は軽かったのでかなりお腹が空いていた。おそらく普段の五割増しで食べてしまっただろう。
さて食事も終わったので、今日のやらなきゃいけない事を進めて行こう。年長組に男爵の館に行ってもらおう。昨日の宿題の確認と、下水を作る事・トイレの作成を各家にする事を男爵から住人に対して通達するように伝えてもらおう。一緒にレイリーと小さくなってもらったメイについていってもらっている。
残りのメンバーで、農業ギルドに行って農地改革から始めることにした。基本的にはフレデリクの街と同じではあるが、先にギルド同士で伝言を頼んでおいたのが功を奏して、協力してくれる人を集めてくれていた。登録している人全員が協力してくれるようだ。
やっぱり街の外なので、壁を作ってもらえるとなれば諸手を上げて歓迎されるようだ。
さすがに一日で全部の農地のまわりを壁で囲う事は難しかったので、三日程かかって全部の畑のまわりに壁と水路が完成した。農家の人はみんな泣くほど喜んでいた。ちなみに二日目からは年長組も合流して作業効率が向上している。
年長組に男爵たちの様子を聞いてみると、寝ずに資料を作成してたとのことだ。到着した時にはまだ完成していなかったので、レイリーが凄みをきかせたら顔を青くして完成させたらしい。初めて作ったにしては、それなりのものができたようだった。
前日にあれだけ言われたんだから、それなりのものができなかったらただの無能だな。預かった資料は確認した後、俺が作った資産の資料と一緒に商人ギルドに提出してきたようだった。その際にビックリしたのが、男爵専属の部署ができていたことだ。そこまで酷かったのかネルビ男爵。
俺たちがこの街から離れたら、武力で脅したりされる可能性があるか? ポンコツ男爵ならありえそうだ。
そう言えば、フレデリクの街の奴隷商は入れ替わったばかりで、問題が多いのからリーファスの街で奴隷を買って、ちょっと育ててからこっちに送り込むか?
バランスのいい四人組くらいのパーティーでも作るか? 基本的には冒険者として稼いでもらったり、フレデリクの街と行ったり来たりしてもらってもいいしな! そしたら馬車も準備してあげないとな。他にも商人ギルドに行ってもらったり、男爵を監視してもらったり……悪くないな。
人数に問題がなさそうなら、多めに奴隷を買ってリーファスの街にも屋敷を買うか? それは後で考えるかな。
予定の二週間で地下に下水を掘って、トイレも全部の家に配置して、公園にも公衆トイレを作り問題なく周知はできたと思われる。近くの沼からスライムを回収してきて、下水にぽいっと捨ててきて完了だ。しばらく街にとどまってトイレの様子を観察してからフレデリクに帰ろう。
様子を見ている間に、リーファスの街の奴隷商に行きカエデとメイ、アクア、ピーチの意見を聞いて十四人の娘を購入した。男は買わないのか聞いたら、ご主人様の近くに立つこともあると思いますので、男は買わないと言われてしまった、ますます肩身が狭くなるな。
この娘たちの指導はシルキーと先輩にお任せすれば問題ないだろう。戦闘要員と分けるつもりだったが、ピーチたちと同じように何でもできるように教育しますとの事だった。無理はさせないでほしいところだ。
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