第41話 娘たちの戦闘訓練終了
娘たちがうちに来てから一ヶ月が経った。昨日で訓練が終わり今日からは、冒険者になってクエストをこなしランクを上げてもらいながら、メイドの業務を覚えてもらおうと思っている。
一パーティーずつ冒険者・休暇・メイド業務のローテーションでやってもらおうと思っている。
休暇は一日自由時間ってことにする予定だ。冒険者で少しずつお金を稼いで娘たちで外に遊びに行くのもいいのではと考えているのだ。
訓練が終了して誰一人脱落しないどころか、スキルがニョキニョキはえてきていて俺が宝珠を渡して覚えてもらう予定が必要なくなったのだ。使わなかった分のDPは気付かれない様に、ちょこちょことスキルに還元してLvを上げていこうと考えている。
スキルLvが上がれば知識は増えていくので、ギリギリまで自分の力で行ってもらえば問題ないだろう。
訓練が終わったので、準備していた冒険者用の装備と戦闘メイド服をみんなに上げようと思う。武器は数打ちの量産品だがカエデが作っているので、そこら辺の武器屋の武器より一、二段は質がいい。
食事が終わったらお話があるとだけ言い、いつも通りにぎやかな朝食が始まった。
朝食のメニューは、基本的に変わらないといっていいのかビュッフェ形式である。パンが数種類に、スクランブルエッグ・目玉焼き・ポーチドエッグ、ポテトサラダ・生野菜・温野菜にドレッシングが数種類、俺のためにオニギリが日替わりで二種類である。
そういえばシュリは、平均すると十人前ほどを食べているようだ。もちろん好き嫌いは無く、バランスよく十人前食べている。それだけ食べているのにみんなと同じくらいのペースで食べ終わっている不思議だ!間食もするので、一日で五十人前は食べていると思う。
噛むペースが速いとか他の娘たちに比べて一口が大きめとか加味しても、バランスがおかしいような気がするが、同じくらいの時間で食べ終わっているの……謎だ。
朝食も終わり、皿をみんなが片付けた後再度食堂に集合する。
「みんな、一ヶ月の訓練お疲れ様。脱落する人もなくみんな本当に強くなったと思います。一ヶ月やり遂げたご褒美として、カエデが作ってくれた冒険用の装備と武器、戦闘メイド服、手甲に短剣二本を全員にプレゼントします。
素材とかは俺が準備したけど、加工して作ったのはカエデだから、カエデに感謝して使ってもらいたい。しっかりお礼も言っておいてくれ。一人ずつ渡すので、名前を呼ばれたら取りに来るように」
一人ひとり名前を呼んでいき装備を渡していく、最初に受け取ったピーチはもらった瞬間に号泣してシュウを焦らせたが、あまりにも嬉しかったらしく泣いてしまったと後で謝りに来た。年齢順に渡していたので、最後は当然最年少のシェリルだ。
よく分かっていない様子だが、みんなとお揃いの服がもらえて頑張って特訓した体術と短剣術の装備ももらえて喜んでいる。嬉しさのあまり俺に抱き着いてお礼を言っていた。
抱き着いている様子を見た娘たち全員が、羨ましそうな視線をシュウとシェリルへ向けていたが当の本人たちは全く気付く気配がなかった。
全員に装備を渡し終えて改めて話を再開する。
「えっと、みんなにはこれから冒険者としてと、この家のメイドとして過ごしてもらうつもりです。戦闘体験した時のメンバーでパーティーを組んでもらいます。便宜的に年長・年中・年少組と分けます。
その三つのグループで、冒険者の活動・休暇・メイド修行のローテーションでいきます。ただ冒険者の活動に慣れるまでは、冒険者の活動だけの予定だよ。ここまでで何か質問ある?」
「ご主人様いいですか? 休暇って何ですか?」
「休暇は休暇だよ、簡単に言えば一日自由時間だ。基本的に何をして過ごしてもいい日にする予定だ」
「何をしてもいいということは、メイド修行をしても冒険者の活動をしてもいいって事でしょうか?」
「自由に過ごしていいから、問題ないけど休みとかなくていいの?」
「私たちは全員、早くご主人様の役に立ちたいと思っているので疲れていなければ、冒険者の活動やメイドの修行がしたいと思います。中庭のダンジョンが借りれるならトレーニングもしたいと思います」
「熱心なのはいいけど、無理や無茶はいけないからね。ダンジョンを使うときは、みんなで訓練していたところなら自由に使っていいよ」
「ありがとうございます」
「今日は、全員に冒険者の登録をしてもらったら多分お昼過ぎるから、外で食事を食べたり、街を自由に回ってきていいよ。お小遣いもあげるからみんなで楽しんできてほしい。夕食まで自由行動として羽を伸ばしてきてくれ。
明日からは、クエストをどんどんこなしてもらってランクを上げてもらう予定だからね。他に質問がなければ、服を着替えて玄関に集合。今日はクエストに出るわけじゃないけど、手甲と短剣位は装備しておくように、メイン武器を持ったままだと街見て回れないからね」
特に質問もなかったので、娘達は部屋に着替えに戻っていった。
十分もしないうちに娘達は玄関へと集合していた。並びは、年少組・年中組・年長組である。装備は全員冒険者っぽい方を身につけていた。もちろん全員お揃いの手甲と腰の後ろ側に短剣が二本収まるベルトをしている。
「じゃぁ冒険者ギルドに出発しよっか」
「はい!」
娘たち全員のシンクロした声が響く。
娘たち全員、フレデリクの街に来てから街の中を見ながら歩いたのは、奴隷商から拠点までの一回しかなかったため、物珍しそうにキョロキョロしながら歩いていた。特に年少組は、「あれ何?」「あれ何?」等と色々聞きながら楽しそうに歩いている。
この娘たちも奴隷になる事情が無ければ、街を友達と一緒に歩いていたのだろうか? この娘たちを引き取った責任もあるし、みんなには楽しく過ごしてもらいたいな。
しばらく歩くと、冒険者ギルドが見えてきた。
「みんな、あれが冒険者ギルドだぞ」
俺に声をかけられた娘たちの視線が冒険者ギルドに注がれる。全員なぜか微妙な顔をしていたたちに、シェリルが一言いいはなった。
「これが冒険者ギルド? ご主人様のおうちの方が大きくてきれいだね」
シェリルは、娘たち全員の心の中を代弁したのだった。
「まぁ、冒険者ギルドは粗暴な人も多いから、あんまりきれいでもどうかなと思うよ。でも、こういった風情のある場所もいいと俺は思うな」
「ふ~~ん、クエスト受けて報告する場所だから、長い時間いることないしボロくても関係ないね!」
幼いから容赦なく出てくる言葉に、シュウやカエデ、年中組と年長組も苦笑いしかできなかった。
「シェリル、ギルドの中ではそういったこと言ったらだめだよ。ここを大切に思っている人たちもたくさんいるんですからね」
「ご主人様どうして?」
「じゃあシェリル、今俺たちが住んでいる家を馬鹿にされたらどう思うかな?」
「そんなの決まってる。絶対に怒って許さないもん!」
「シェリルはあのお家を大切に思っているよね? それと同じようにこのギルドを大切に思っている人たちがいるんだよ。だから、そういうことは言ってはいけません」
シェリルは何かを感じたのか、ワナワナと震えている。
「シェリル、今度から絶対に言わない!」
「そうですね、よく分かってくれたね。えらいえらい」
シェリルをほめながら、頭を撫でてやる。
娘たちが後ろから、羨ましいと言わんばかりの視線をしていたが、二人は気付くことなく冒険者ギルドの中へ入っていった。
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