第2話 街に着いたよ
暗転から目が覚める。
「目が覚めて、自分の部屋ってことはないか……本当に異世界に来てしまったみたいだな。この状況受け入れている自分が、信じられないわ」
周りを見渡し状況を確認する。
100メートル程先には道らしき草の生えてない場所が続いている。200メートル程後ろには、森があるな。道の続きには、塀の様なものが見える。距離が遠いから正確な長さはわからないが、相当なものだと思う。
「あれは街か? とりあえず行ってみるべきか」
歩きながら色々確認していくか。
服は、なんだこれ? 仕立ては悪くないけど生地が微妙だな。合成繊維なんてあるわけないか、そのうちDPで召喚できたらいいな。靴は、まぁ履き心地は悪くないな。何の革だろう?
持ち物は、剣と鞘・お金が……金貨銀貨銅貨っぽいものがあるな。他には、水の入った革の水筒にちょっとした食料か、この手に収まるクリスタルっぽいのがダンジョンコアかな?
そうだ、ステータスは、レベルは1、ですよね。種族が、ダンマス(鑑定では人間とでます)力・体力・素早さ・魔力・器用・運が、全部10だな。この世界の平均値はどうなんだろうか? スキルは、自動翻訳(鑑定されても表示されません)。
これだけかよ! この状態で襲われたらシャレにならんよな。さっさと街に入りたい!
さて次は、ダンマスのステータスか……5000DPか、これってどのくらいだよ! 他には、ダンジョン操作・召喚・経験値変換。ダンジョン操作を指定すると、入口作成・通路作成・部屋作成・階層作成・エリア掌握・奪取。前4つは何となく理解できるが、後の2つはなんだ? 選択すると、
エリア掌握――ダンジョンを作成するためには、土地を掌握する必要があります。地球に合わせて表現するなら、土地を買ってその土地の中にダンジョンを作る感じです。なので土地を買っていない地上にも地下にもダンジョンは作れません。
奪取――他のダンマスや誰の支配下にもないダンジョンを奪える。ダンジョンの大きさにより消費DPが違ってくるので注意が必要。自分で作るより安上がりでダンジョンを手に入れられるが、ダンジョンコアに使用しなきゃいけないためたどり着くのが大変。
なんだろうな、この説明口調の説明文。
とりあえず、ダンジョンを作る前にはエリア掌握が必要で、掌握した場所には地上・地下にダンジョンが作れるのだろう。
地上と書かれているから家みたいなのも建てられるのだろう。ってことは、魔王城みたいなダンジョンも作れるかもしれないな。レベルの高い人が多くいる場所を掌握できればDPが多く稼げそうだ。
奪取は、当分使うこともないだろう。
色々考えて歩いているうちに、塀の近くへたどり着いた。うん、これは塀じゃないね、城壁だなこりゃ。この中が街で間違いないだろう。結構デカい街だな。門の前には行列ができていて、順番待ちをしているようだ。
街に入るために何が必要かわからないけど、とりあえず並ぶか。
待っている間に、DPで召喚できるものについて確認でもしよっと。
召喚を選択すると、ダンマスのステータス画面にタブが出てきて魔物に精霊、武器、防具、アイテム、異世界などがあった。
「へぇ、一応種類ごとにもわかれているのか。異世界ってのは、俺が元いた場所のやつかな? いろんなアイテムがあるから探すの大変だろうな……」
小声でつぶやきながら調べていく。
ファンタジー定番の敵といえばこれ! ゴブリンで一番安いのが10DP? 高いのか安いのかよくわからんな。今持っているDPを全部使って500匹か? そう考えると少ない気がしないでもない。他にも、スライム・オーク・ゴーレム・コボルト――精霊――etc
まず種族があって選択すると業種? というか種類が色々出てくる感じだな。ゴブリンなら通常・アーチャー・ナイトで精霊ならエルフ・ダークエルフ・ドワーフ・シルキー等々が選べるようだ。
それを選ぶと雄雌が選べる。最後にオプションでLvなどのステータスをいじれるが結構なDPを消費するようだ。
職業が少ない気がするが、俺のレベルが上がると増えていくとかいうあれだろう。雄雌が選べるみたいだが、ゴブリンのメスっているんだろうか? あいつらって、女をさらって繁殖するとかいうもんな。この世界でもそうなのかな? 毛嫌いされてそうだな。
武器はどうなってるかというと、片手剣・両手剣・鈍器・杖・槍・斧・弓などがあり、次にオプションがありそこで素材や品質にエンチャントが行えるようになっている。これは、防具も一緒のようだ。
アイテムは、色々な項目がありお金・食料・雑貨・家具等々。お金を選択すると、1000フラン=1DPとなっており、1000フランは、鉄貨1000枚=銅貨100枚=大銅貨十枚=銀貨1枚のレートらしい。通貨はフランと言うみたいだな。
地球にもそういう通貨単位があったような気がするが?
十万フランで金貨1枚のようだ。なるほど、鉄貨→銅貨→大銅貨→銀貨→大銀貨→金貨→大金貨→白金貨の順で十倍してくと上の通貨になるみたいだな。どのくらいの価値か全くわからんがな。
食料は、水・野菜・果物・魚介・肉・調味料と並んでいる。この項目はどうやら複数を選択していく方式らしい。野菜の項目でキャベツを1個選ぶと1DPで2個選んでも1DPだった11個選んだ際に2DPに変わった。
つまり、物は多くても少なくても1DP内の価値の物は一律で1DPで、いろんな種類を選択できるようだ。お待ちかね、食を豊かにする調味料のタグを選択するということだな。
塩・胡椒(この世界は調味料はこれだけ! ハーブとかもあるけどほとんど価値が知られてないから使われてないのが現状だよん)この説明文を見て、ツインテ幼女が頭に浮かびイラッとして黒い不吉なオーラを出していた。
「おいおい兄ちゃん、なんか不穏な空気がしてるぞ? 騒ぎを起こすのはやめてくれよな」
突然後ろから声をかけられ振り返ると、30代後半位の男性で馬車を引いている人がいた。
「あっと、すいません。故郷を出てきた時に人をイライラさせる奴がいて、不意に頭に浮かんできてしまって、不機嫌になってしまいました」
「なるほどね、むかつく奴の顔を思い浮かべると確かにイライラすることがあるもんな。俺の名前はゴードン、そこの街フレデリクで商人をしている者だ。今は他の街から品物を運んできている。馬車の横や後ろにいるのが、最近懇意にしている冒険者チームの「黒狼の牙」の人たちだよ」
「さらっと重要なこと言いませんでした? 商品の仕入れから戻ったとか、そういうことを大っぴらに言っていいものなんですか?」
「ガッハッハ、兄ちゃん小さい事気にするな。言っても言わなくても、冒険者の護衛がいるから何かしら積んでいるのはバレてるって、問題は中身の内容と入手経路だな。それさえ言わなければ特に問題ないさ。何処の何を商っているかは、商人の命綱だからな。それにしても若いのに1人でなにしてるんだ?」
幼女の話にも出てたし冒険者になりたいみたいな設定でいっとくか。
「俺の名前は、シュウって言います。故郷を飛び出して新しい世界で一人旅です。大きな町で冒険者になれたらいいなって思って、ふらふらしていたらこの街を見つけました」
「一人旅ね。夜なんか1人だと大変なのによくやるな。むしろよく無事でいられたもんだな。ここら辺の村の人なのか?」
しまった。この人、商人で外に出歩いてるから下手なこと言えないぞ。適当にでっちあげるか。
「ここから、どのくらい離れてるんでしょうね? いくつか村を通ってきましたが見るものが全部初めてで楽しくて、通った村の名前も覚えてないです。住んでた村も名前もついてないような小さなところでしたし、たまに行商人の人が来て色々買ってってくれてましたね」
「遠いところから来たんだな、小さな村もいっぱいあるからな。気付いたらモンスターに襲われてなくなってるってことも何度か見てきたしな。にしても長旅だったのによく無事だったな。危険だからあまり一人旅はすんなよ。冒険者になるならいい仲間にも出会えるから頑張れ!」
おっちゃんの優しさにほろりときてしまった。どこかのチビ神とは大違いだ。
「心配してくれてありがとうございます」
「ゴードンさん、その人は知り合いかい?」
馬車の近くにいた黒狼の牙の1人だと思われる人から声がかかる。
「おっと、テオさん。この若者は、自分の村を飛び出して新しい世界を旅してるんだってさ。で、大きな街で冒険者になろうとしてるようだよ。先輩として何かアドバイスをしてあげたらどうだい?」
「小僧、冒険者になりたいのか。傭兵と違って腕っぷしだけじゃ勤まらないことも多いから、色んなことを学ぶといい。だけど、戦闘ができないとどうにもならないから鍛錬は怠るなよ。冒険者ギルドならちょいとお金はかかるが戦闘訓練の教官もいるし鍛えるといいぞ。っと、自己紹介してなかったな。黒狼の牙のリーダーのテオだ」
「シュウって言います。村から出てきたばかりの、田舎者です」
「そんなにかたくなるな、お前さんみたいな田舎から出てきて冒険者になりたいっていう若者は多い。俺たちもそうだったしな。そういう若者は浮かれて早死にすることも多いから、ギルドで色んな講習があるから話を聞くといい。こっちは金がかからないから気兼ねなく参加するといい」
「ありがとうございます。冒険者に登録する際にでも色々聞いてみます」
「おぅ、頑張れよ」
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