9-15【大変なのはみんな同じ2】
◇大変なのはみんな同じ2◇
今日何度目の【
そろそろ疲労も見えて来た俺は、北門近くに移動した……一人のお客と。
「……ここが戦場……酷いものね」
「ですね」
教会がある地下から出た所を、この人……セリスフィア皇女様に見つかり、こうしてついて来たんだよ。
そのせいで魔力がカツカツなの……この人、魔力すげぇんだもん。
「帝国の人間、皇族としてこれほどまでに恥ずべきことは無いわ……」
「……」
この人は、本気で死者を弔っている……それが例え、敵国の死者であろうとも。
更には、防衛の何もなく帝国内の村を侵攻された事……それを悔いているのかもしれない。
「スクルーズくん」
「はい」
夜空の下でプラチナブロンドが輝く。
俺を見る皇女様は、神秘的なまでに美しいと思えた。
「皇女として謝罪を……申し訳ありませんでした」
突然の謝罪。
俺は
「え……っと。え??」
素っ頓狂な声を漏らして、俺は困惑する。
だってそうだろ?皇女様だぞ?転生者とは言え、この世界で生まれた地位の高い存在であり、この国のトップの娘だ。
それがこんなド田舎の、一農民の息子に頭を下げるなんて。
「防ごうと思えば出来た事です。この村の名が知られ始めた数年前に訪問し、国として関係を築けば、きっと防衛も出来たわ。王国軍に付け入る隙を見せることなく、事前対処も出来たはず……」
「……とにかく、頭を上げて下さい」
もう遅いんだ。
謝罪は受けるさ……この人なりの誠意だろうし、真摯な心を以って謝っているのも見て取れる。
「……ですが」
「もう終わった事です。これからまた前を向きますよ……長いですからね、人生は」
前世で三十年しか生きてねぇけど。
それでも、ここは俺の……ミオ・スクルーズの始まりの地だ。
「それに――俺は借りは返すし、売られた喧嘩も買うしね」
「……それは、まさか?」
そう、その通り。
「そのまさか、さ。俺は村を滅ぼした奴ら……王国を許さない。全ての王国人が悪いって事じゃなくて、その根本……王国貴族とか、王族とか」
これは、この場にいるのがセリスフィア皇女だけだからこそ言える言葉であり。
王国出身のミーティアにはあまり聞かれたくないような言葉かもしれない。
だけどミーティアはきっと、俺に賛同してくれると思う。
「転生者を怒らせたらどうなるか、同じ立場なら……皇女様も分かるんじゃないですか?」
「それは勿論。出来る事なら……私
だろうな。この人は多分……チート能力を持ってる。
それを可能にする、有言実行が出来る能力を。
ならば俺が取る道は一つ……この人を、帝国そのものを味方につける事なんだ。
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