第7話  【はじまり 其の7】

 せかへい 外伝24



 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria



 第7話

 【はじまり 其の7】





 モンスターがこちらに向かい走ってくる。




「来るぞ」




 グラオスはそう言うとマントを広げた。




「分かっている」




 イングリッドはしゃがむと地面に手を触れる。




 そして魔法陣を展開すると、魔法を発動させた。




 すると、モンスターの周りの地面から小さな石が浮かび上がる。それと同時にモンスターは羽を使って飛んで移動していたが、突然方向感覚がおかしくなり、地面に突撃してしまった。




 マントを広げたグラオスのマントの内側から縄が出てくる。それはモンスターの方へと伸びていくと、モンスターを地面に貼り付けるように拘束した。




 ただの縄だ。しかし、グラオスが魔法で何倍にも強度を上げている。




 だが、




「まさか…………」




 モンスターは力ずくでグラオスの縄を破る。




「強度は鉄よりも硬いんだぞ」




「鉄檻でも閉じ込められないってことだな」




 グラオスが驚く中、イングリッドは冷静に分析する。




「私の重力魔法にも適応し始めてる。これはそろそろまずいかもな…………」




 イングリッドの魔法の効果は続いている。しかし、モンスターはイングリッドの魔法が発動しているのに立ち上がる。




 まだ完全には適応していないが、少しずつ慣れてきているのは確かだ。




 皮膚には毒がある。接近戦は好ましくない。作戦も残り少ない。だが、グラオスは笑った。




「追い詰められれば、追い詰められるほど燃える。面白いな」




 グラオスにイングリッドは少し驚いたが、




「そうだな。これこそ戦いって感じだ」




 そしてイングリッドは宙に浮くと、近くにある木に向かって飛んだ。そして木に触れると、次々と木を浮かせる。




 それを見たグラオスはイングリッドを追いかけて、イングリッドの飛ばした木に手で触れる。




 そして十本ほど浮かしたら、イングリッドはモンスターに向けて木を飛ばした。

 三発は受けたが、そこから先はイングリッドの重力に対応できたのか、空を飛んで木を避ける。




 モンスターが飛んで行ったのは、




「グラオス!!」




 グラオスの方だ。グラオスは地面から土を手に取ると、




 その土を空中にばら撒く。モンスターは突撃して金棒を振り下ろしてくるが、土で壁を作りグラオスは攻撃を防いだ。




 反撃のために二人はそれぞれ動く。イングリッドはしゃがみ、グラオスはマントの中から何かを取り出そうとする。

 だが、二人よりも早く。モンスターは回り込んだ。




 土の壁を回り込み、グラオスに金棒を振り下ろそうとしてきた。




「っ!?」




 その時、銃声と共にモンスターの動きが止まる。連続で鉄の弾がモンスターに当たり、モンスターはその弾丸に押されてグラオスから離れていく。




 そしてモンスターは一度空に飛ぶと、距離を取った。




「貴様、なんのつもりだ」




 ヤマブキは腕から弾丸を発射させていた。







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