第10話

絵を描く筆は先が割れていたから僕は僕の指先を筆の代わりにした。

絵の具は不自然なほど大量にあった。

僕は子供が遊ぶように絵の具を手のひらの上で混ぜて、それを小屋中に塗っていった。


何をつくりたくてそんな事をしたのかなんて、そんな問いに意味はなく、

僕はどんなになってまで

僕のまま生きていく他ないのだと

諦めの中を小屋に刻んでいった。

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