17 妹が暴走しやがった
俺は上手く妹を操り、一緒に買い物へ行くことになった。そして兄妹仲良く、イチャイチャしながらお菓子を選んでやろうと思ったのだが……。
俺は重大なことを見落としていた。
俺たち兄妹では、そんなことは実現しないのだ。なぜ気付かなかった。
俺の妹、沙恵は。
外に出るとヤンキーになってしまうのだ!!
そう、月が出ると変貌を遂げてしまう狼男のように。沙恵は外気に触れるとヤンキー化してしまう!! (多少語弊あり)
*
家から引っ張り出しておいて、「やっぱり来なくていい」 なんて言ったら、割とガチでキレられそうだったので、今更という訳にもいかず……。
結局、ヤンキー化した沙恵を連れて店までやって来てしまった。
まぁ、別にヤンキーが嫌というわけではないのだけれど……。
「おい兄貴、今日はここを
「
「んだとオラァ!? 舐めてんじゃねぇぞ!!」
「うん、とりあえずその無駄にデカいサングラス外してから威圧してよ」
「アァん!? ……クソ兄貴が!」
この調子だと中々に不安である。
……周囲からの視線が痛い。
そして何より、妹からの罵倒が痛い///
そんなこんなでハラハラドキドキしながらお菓子コーナーへとやってきた。道中は割と静かに着いて来てくれたので助かった。(周囲にメンチ切りながらだが……)
お菓子売り場には様々な種類のものがあった。昔ながらの古い店で売っていそうな小さな駄菓子から、最近の子が食べそうなポテトチップスまで。
「さて……沙恵はどれが良いと思う?」
「どのブツが一番気持ちよく、high↑になれるかってことか」
「そのボケは際どいからやめてくれ……」
「アァん!?」
「事ある毎にメンチ切ってくんのやめろや!!」
そして沙恵は、とあるお菓子を手に持ち、「ウェーイ」 なんて言いながらカゴに入れてきた。そこにあるのは、いくつものグミ。
「……なんで、グミなんだ……?」
「アァん!? 手が汚れねぇからに決まってんだろ!! いちいち手に付いた油とか気になるようじゃ楽しめねぇだろうが!!」
「あ、ヤンキー状態でも結構優しいのね」
そんなこんなで、手が汚れにくいお菓子を他にもいくつかチョイスして、俺達は店を後にした。沙恵は相変わらず周囲にメンチ切っていた。
「ねぇおに……、兄貴!!」
こいつ今「お兄ちゃん」って言いそうになったか? うーん。沙恵も大変なんだな。その事には反応しないでおこう。ヤンキー状態の沙恵とあれこれ言い合ったせいで疲れたしな……。
「ん? どうかしたか、沙恵?」
「兄貴…………なぜ金を払ったんだ!?」
「お前は反社会的勢力か何かか!?」
今回の件で、外出中の沙恵がどのように暮らしているのか。本当に不安になった。
いちいちボケなのかガチなのか分からないから面倒くさい……。
万が一のために、後でキッチリと叱っておこう。
「沙恵、いよいよ明日だな」
「兄貴自慢大会……か。兄貴は私だけのかっこいい兄貴だ。だから明日はカマしてやれよ!」
「お、おう……ありがとな」
ヤンキー化すると平然とこんな事を言ってのけるのか。我が妹、やっと手懐けられたと思っていたが、やはり恐ろしや……。
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