第91話 武闘大会 第6回戦

翌朝、闘技場に向かっている途中で師匠と会った。




「おうダグラス!!!お互い順調に勝ち進んでるな!!」




「ああ!師匠は負け要素を全く感じさせない勝利を重ねてるな!!」




「そうか?ダグラスこそ相手を上回る実力を見せつけて圧倒的な勝ちを掴んでるじゃないか!」




そんな会話をしながら歩き、闘技場に着いた。




「じゃあ着いたからそろそろ離れるか。またなダグラス!」




「ああ!」




「お前ら盛り上がる準備はできてるかーーーーー!!!!!!!」




「おおおおおおおおおおおおお!!!!!」




「あと3試合で武闘大会も終わりだーー!!!1試合も見逃すなよーーー!!!!」




あと3勝できれば優勝だ。


そういえばもうベスト32に入賞したので報酬がもらえるのだが、中身は何なのだろうか。




「それじゃあ6回戦開始だーーーー!!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」




周りの選手たちも気合が入っているようで、皆殺気立っている。




『俺も気圧されないで頑張るか!!!!』




今日は1戦目なので、控室に行って準備をした。




「それではダグラス選手とリッパー選手は入場してください。」




『よし、行くか!!!』




俺はまるでこれから宿敵と雌雄を決するかのような闘争心をむき出しにして入場した。




「ダグラス選手入場ーーーー!!!!!快進撃は続くのかーーー!!!!」




「今日の彼は何だか雰囲気が違いますね。何かを起こしてくれそうです。」




「ええ。ひょっとしたら最初から全力で仕掛けるかもしれませんね。」




「十分あり得ますね。」




そう、俺は最初から全力で挑むつもりだ。


なぜならリッパー選手は暗殺ギルドという闇組織の中でも”恐怖の暗殺者”と一目置かれているからだ。




『ステータスは大したことないけどあの溢れ出る嫌な雰囲気がな…』




そんなことを考えていると、リッパー選手が入場してきた。




「…続いてリッパー選手も入場ーーー!!!!」




「彼が今まで倒した相手は全員治癒院行きですからね。大会のルールに抵触はしていませんが、なんともまぁ相手の選手が可哀想ですね。」




「そうですね…ダグラス選手は将来有望なので、後遺症などができなければいいですね…」




俺は回復魔法でどんな怪我や病気も治せるので、その点恐れずに攻められる。




「それでは両者とも準備が整いました!!!!それでは試合開始ーーーーー!!!!!!!!」




俺もリッパー選手もゴングと同時に”気配遮断”を行使した。


互いにSランクで実力が互角なので、俺は”偽装”で自分の存在を隠蔽した。




「おーっと!!!!両者とも姿が見えなくなりましたーーーー!!!!!どうなっているのでしょうかーーー!!!」




「私にもわかりません…」




俺は気配を殺すと同時に”気配察知”を行使し、常に相手の位置を把握した。


彼は俺の姿を見失ったようで、その場を動かずじっとしている。




次の瞬間、リッパー選手が”気配遮断”を解除した。


そして隙の無い構えをしだした。




「リッパー選手が現れましたーー!!!なお、ダグラス選手は消えたままです!!これはどういうことでしょうかーーー!!!!」




「おそらくダグラス選手の気配を殺す能力がリッパー選手を上回ったのでしょう。」




「しかし昨日の試合では使っていませんでしたね。対リッパー選手戦に取っておいたのかもしれません。」




「あり得ますね。」




全く解説の通りである。


俺はそのまま解除せずに相手の目の前まで近づいた。




『よし、仕留められる!!』




そう思い、斬りつけると相手は皮膚をかすったところで攻撃に反応して回避した。




『なっ!?どういう反射神経してんだ!?』




「おーっと!!!リッパー選手に傷ができましたーー!!」




「ダグラス選手が仕掛けましたね。しかし、致命傷には追い込めなかったようです。」




このまま繰り返してはそのうちリッパー選手が感覚を掴んで対応してくるだろう。


俺は”気配遮断”と”偽装”の両方を解除した。




「おーっと!!ダグラス選手も姿を現したーー!!!」




「おいお前。ダグラスといったな。」




「…なんだ?」




「今の”気配遮断”はどういう仕組みだ?」




「教えるわけないだろう。」




「まあそうか。その能力を買って暗殺ギルドに紹介してやろう。」




「断る。興味ない。」




「…そうか。残念だ。」




そう言うと、リッパー選手が攻撃を仕掛けてきた。


彼の得物は短剣で、刃に麻痺毒が塗られているようだ。




俺はその攻撃を盾で防ぎ、片手剣S”レイドストリーム”を行使した。


そして、その13連撃で相手を切り刻んだ。




「試合終了ーーー!!!!!!ダグラス選手がリッパー選手の凶悪な魔の手に打ち勝ちましたーー!!」




今まで何人もの選手を怪我されたので、彼らの分までリッパー選手にぶつけた。


”手加減”スキルの影響でぎりぎり死んでいない瀕死の状態だ。




「医療班、至急リッパー選手の手当てを!!!!」




俺は彼の怪我を治さず、闘技場を後にした。

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