第72話 魔族

『そういえばどうしてこんなにゴーレム系だけが大量発生しているんだ…?』




2つ目の広場まで全滅したが、ワーム系と一切遭遇しなかったのだ。




『考えても仕方ないか…』




いったんゴーレム系を殲滅して時間ができたので”アイテムボックス”に収納しておいたゴーレム系の死体を”鑑定&略奪”した。


すると、”ゴーレム生成D”と”鋼鉄化E”のスキルを習得した。




『”ゴーレム生成”!?今度試してみたいな…!!』




軽く休憩をとれたので、”レーダー”を見てみるとおかしなことを見つけた。




『ん?鉱山の奥の1か所から湧いているのか…?』




広場の1番左の道にしかゴーレム系が溢れていなかったのだ。




『もしかしたら”ゴーレム生成”を利用した人為的な現象なのかもな。』




俺は発生の原因を突き止めるべくゴーレム系が多い道を進んでいった。


奥に進むにつれてだんだん瘴気が濃くなり、視界が悪い上に空気が重いので気味が悪い。




「あぁ!鬱陶しい!!!」




俺は光属性魔法”エリアキュア”を行使し、瘴気を払った。


すると、空気がきれいになりさっぱりとした。




『ふぅ…それよりなんでこんなところに瘴気が…?』




瘴気が発生するのは墓地や廃村などのアンデッドが寄り付く場所か、天魔の剣の時みたいに何か邪悪なものが封印されている場所くらいである。




『でも瘴気とゴーレム系の大量発生に何か関連性はあるか…?』




そんなことを考えながら進んでいると、”レーダー”の反応が地下に続いていることに気づいた。


さらに、1つだけとても強力な反応があった。




『やっぱり地下があったか。それよりこの強力な反応はなんだ…!?』




魔力量は俺より少ないものの、存在の威圧感がとても強い。




『…まあそうはいっても海龍よりはだいぶ弱いな。』




”気配遮断”を行使して気配を消しながら地下に降り、強大な魔力の反応に近づいていった。


地下は機材や何かがメモされた紙が散らばっており、何かの研究室のようだった。




「…誰だ。」




近くのゴーレムを倒すと気づかれてしまった。




「ただの冒険者だ。ゴーレム系が多い道を進んでいったらここにたどり着いた。」




「そうか…お前が僕の作ったゴーレムを全滅させたのか!!!」




”レーダー”の反応元が姿を現し、俺は驚いた。




「なっ!?魔族だと…!?」




子どものような体から禍々しい羽が生えており、さらに頭から角が生えていた。





名前 アル 種族 インプ (低級魔族) Lv.167 




ステータス


HP 268410/268410 MP 312610/312610 TP 215610/215610 




スキル


・魔法


闇属性魔法S 




・武技


鎌S 体術A




ユニークスキル


高速




称号


闇属性魔法の極意 鎌使いの極意





俺だけで対応できるくらいの強さでよかった。




「人間ごときが僕の計画を邪魔しやがって…!!許さないぞ…!!!」




そう言うと、インプは襲い掛かってきた。




「あ、あぶねっ!!」




”高速”の影響で非常にすばしっこく、攻撃を回避するのが難しい。


さらに散らばっている障害物を利用して飛び回っているのでなかなか目で追えない。




『どうしたものか…』




海王の装備のおかげで鎌の攻撃は無傷だが、このまま耐久しても何も始まらない。




「おい人間!!どうして僕の魔法が効かないんだ!!!」




「魔法…?」




「闇属性魔法のデバフだ!!」




「あぁ…耐性があるからな。」




「なんだとぉ!?くそぉ…!!」




インプは意外と単純なのかもしれない。


この単純さを利用したい。




『そろそろ仕掛けるか…』




無理に目で追おうとせず、俺は”気配察知”を頼りにして目を瞑った。




「おい人間!敵前で目を瞑るなんてなめてるのか!?」




「いや、お前程度見なくて十分だ。」




「なんだとぉ!?もう許さん!!殺してやる!!」




インプを煽ると、俺の思惑通り攻撃が単調になってきた。




俺はその単調な攻撃時の移動に合わせて海王の片手剣を出した。


すると、次の瞬間インプはそのまま片手剣に突っ込んで両断された。




『…あっけなかったな。』




インプを”鑑定&略奪”し、”高速”を習得した。




その後インプのゴーレム大量生産の真意を探るべく、実験室のようなところに向かった。


色々書類を見て分かったのは、インプは魔道具と魔石を使ってゴーレムを生成していたことだけだ。




『目的はわからなかったか…まあいい。』




俺は実験の証拠となるものを”アイテムボックス”に収納して鉱山を出た。




「君、大丈夫だったかい!?」




鉱山から出てきた俺に救助隊に参加した冒険者が話しかけてきた。




「ああ。それより解決したからギルマスに報告させてもらってもいいか?」




「本当か…!?ギルマスなら救命テントの中だ。」




「ありがとう。」




まさか鉱山都市に来て初日に厄介ごとに巻き込まれるとは思わなかった。

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