第62話 伝説の鍛冶師

翌日、俺は本当に疲れていたようで昼前まで寝てしまった。




「よう英雄!!遅い目覚めだな!!」




「亭主…そのことは隠してるんですからやめてくださいよ!!」




「悪い悪い!!いやーそれにしても海龍を倒したやつがうちの利用客ってのは光栄だな!!」




「ありがとうございます。」




俺は報酬の話を聞こうとギルドに向かった。




「ダグラス君こんにちは!報酬のことだよね?」




「こんにちはテレサさん。はい。」




「じゃあついてきて!!」




着いていくと、ギルマスの部屋ではなく外に出た。




「あの…どこに向かってるんですか?」




「それは着いてからのお楽しみってことで!」




数分後




「着いたよ!!」




「商会だったんですね」




「うん!ここなら大抵のものがそろってるからね!!」




早速商会に入ると、そこにはたくさんの人々がいた。




「いらっしゃ~い!!職人を集めておいたわ!!」




「バーバラさん…ありがとうございます。」




「ようダグラス!あの剣は役立ってくれたか?」




「ハワードさん!!あれのおかげで倒せました!!」




「そりゃあよかった!!実はあの剣には”災厄来るときこの剣が未来を切り開く”っていう言い伝えがあったんだ!!


まさにその通りになったってとこだな!!」




「そうですね!!」




「ダグラス君、商会のブースに色んな商品を置いてもらったから自由に見て回ってね!!」




「ありがとうございます!!」




俺は最初にハワードのブースに行った。




「何を探してるんだ?」




「防具だ。海龍と戦ってみてヒヒイロカネでは耐えられなかったからな。」




「じゃあ海龍の鱗で装備を作ればいいんじゃないか?」




「あ!!その手があったか!!」




「ちょっと現物を見せてくれるか?」




俺は”アイテムボックス”から海龍の鱗を取り出した。




「これは…!すまん。俺の技量では取り扱えなさそうだ。まずランクすら見破れん…」




「そうか…誰かこれを取り扱えそうな人に覚えはないか?」




「そうだなぁ…”伝説の鍛冶師マルコ=スミス”くらいしか思いつかんが、あいつは世界中を転々としてるから神出鬼没なんだよな…」




「そうですか…」




「ワシを呼んだか?」




「っ!?」




ドワーフの男性が俺の背後にいた。


全く気付かなかった。




「なっ!?マルコじゃねーか!!久しぶりだな!!」




「おうハワード!随分老けたな!!」




「お前は昔と変わらねーな!!」




「いつの間に背後に…」




「まあワシは世界各地を巡って自分で素材を採取しとるからな!!」




「すごいな…」




「それで…ワシにも海龍の鱗とやらを見せてくれないか?」




「ああ。これだ。」




俺は”伝説の鍛冶師マルコ=スミス”に海龍の鱗を手渡した。




「っ!?このランクの素材は久しぶりに見たわ!!うむ、これなら扱えるわい!!」




…まじか。


海龍の鱗はSSSランク素材なので、”鍛冶師”、”鍛冶”スキルともにSSSを習得している必要がある。




しかし、俺の”限界突破”スキルを行使してもSランクの次はLv制になるはずだ。


気になったのでマルコを”鑑定”してみた。





名前 マルコ=スミス 種族 エルダードワーフ Lv.213




ステータス


HP 482110/482110 MP 413810/413810 TP 385140/385140 




スキル


・魔法


火属性魔法S 土属性魔法S 




・武技スキル


両手斧S 盾S




・職業スキル


鍛冶師SSS 付与師エンチャンターSSS 鑑定士SSS




・ユニークスキル


鍛冶の探究




称号


火属性魔法の極意 土属性魔法の極意 伝説の種族 伝説の鍛冶師 





『なっ!?エルダードワーフだと!?』




エルダードワーフは古の時代に滅んだといわれている種族だ。


一族の男性のほとんどが鍛冶師で、その技術は現代でも再現不可能だという。




『まさかお目にかかれるとは…でもなんで古の時代の種族が生きてるんだ…?』




賢者の石で調べてみると、エルダードワーフの寿命は永遠に近いとされているらしい。


俺もそのくらいの長い寿命が欲しいものだ。




”鍛冶の探究”はエルダードワーフの固有スキルで、効果が鍛冶に関するスキルのみにおいて”限界突破”と同じような効果を発揮する。


”限界突破”のLv.2がランクSSと同等らしい。




『なるほど…これのおかげでSSSランク素材を扱えるのか。』




「おい小僧…ダグラスといったか?」




「ああ。」




「金は要らないから海龍の鱗をあるだけワシに鍛えさせてくれないか?」




俺にとっても非常に嬉しい提案だ。




「全部というわけにはいかないが一部なら…」




「本当か!?感謝する…!!これでワシはもっと鍛冶が上達するぞ!!」




まだまだ成長するのか…


いつかSSSランクを超える武器を鍛えるのだろうか。




「それで、ダグラスは何を作ってほしいんだ?」




「装備一式と片手剣、短剣×10、盾だな。」




「あいわかった!!それと他の武器全種類も作っていいか?」




「ああ。素材はいっぱいあるからな!」




「感謝する…!!それと、差し出がましいと思うが一つはワシの渾身の力作ということでもらっても良いか?もちろん金は出す。」




「いいぞ。でも金は要らない。その代わり業務提携してほしい。」




「…具体的に説明してくれ。」




「俺は瀕死の奴隷を買い取って治療し、冒険者として育成している。


その奴隷たちを家族のように大切に思ってるから死んでほしくないんだ。


そこで、いい防具があれば生存率が上がると思ってな。」




「そうか…だがすまないの。ワシはワシが認めた相手だけにしか打たないんだ。」




「そこを何とかできないか…?業務提携すればもっと多くの海龍の鱗を扱えるぞ?」




「むむむ…じゃあAランク冒険者以上でどうだ?」




「分かった。ありがとう。」




「うむ!」




「今は俺の注文だけでいいんだが、どれくらいかかるんだ?」




「そうだなぁ…10日後にここを訪ねてくれ!!」




俺は古びた地図を受け取った。




「分かった。」

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