第34話 奴隷
報酬受け取りや家のリフォームなどが終わり落ち着いたので、ついに念願の奴隷商館に行くことにした。
場所はアルガンの鍛冶屋辺りだ。
家もベッドも安く買えたためまだ金貨は300枚以上残っている。
『楽しみだなぁ…でもメリルは否定的だったから少し心配でもあるな…』
期待と不安が渦巻いてもやもやした感情だったが、気が付けば奴隷商館に着いた。
素顔は見られたくないので俺は”偽装”スキルで姿を偽り商館に入った。
「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですか?」
怪しげな男性が出迎えた。
そこは思っていたより清潔感があり、いい感じの場所だった。
「ああ。説明を頼む。」
「分かりました。ではまず…」
説明をまとめる。
1.奴隷には借金によりなった” 借金奴隷”と犯罪を犯して捕まってなった”犯罪奴隷”、戦争の際に捕まえた戦争奴隷がいる。
2.奴隷には首輪がつけられており、命令すればその命令に絶対服従となる
3.もし奴隷が主人に歯向かうと、首輪から激痛を与える魔法を流す
4.主人は奴隷に必要最低限の生活を送らせる義務がある
5. 奴隷の開放は命令することでできる
といった感じだ。
犯罪奴隷から買うのは怖いからやめようと思う。
「では説明も終わりましたし案内します。まずは借金奴隷の方へ。」
ついていくと、そこの環境は入り口に比べると悪い。
しかし、飢餓状態や虐待をされた痕のようなものは一切なかった。
「どうぞごゆっくりお選びください。」
最近分かったことなのだが、”鑑定”スキルはより深く視ることができる。
例えば、今まではHPやスキル等だけだったが、”剣士”のような職業スキルや”統率力”のような潜在スキルなど様々なステータスがあったのだ。
俺は冒険者に向いている人材を探した。
すると、病気を患っていて隔離されているものの”素早さB”と”短剣C”、”盗賊A”をもつ獣人族の女性を見つけた。
他の全員も”鑑定”してみたが、彼女と同等以上の人はいなかった。
一応戦争奴隷も見ておこうと思う。
腕が片方と足両方が動かないらしいが”力A”、”盾A”、”両手剣B”、”重戦士B”をもつドラゴノイドの女性と両目が見えないらしいが”弓使いA” 、”素早さB”、”風属性魔法B”を持つエルフの女性を見つけた。
「オーナー、この3人を買う。」
「こいつらは皆病気や怪我があるがいいのか?」
「構わない。」
「そうか。じゃあ安くして合計金貨15枚でいいぞ。」
俺はぴったり支払った。
その後、契約書を書き奴隷商館を後にした。
「俺はダグラス。君たちは?敬語はつけなくていい。」
「私は白狼族のサラだよ!よろしくね!ご主人様!!」
「オレはドラゴノイドのクレアだ。マスター、よろしく頼む!」
「わたくしはエルフ族のソフィアです。よろしくお願いしますダグラス様。」
「ああ。みんな目を閉じてもらってもいいか?」
「はい。」
俺は3人を連れて自宅に”瞬間移動”した。
「ここは…?」
「俺の家だ。」
皆きょとんとしている。
”偽装”を解いて元の姿に戻った。
「マスター!!姿が変わったぞ!!どうしたのだ!!」
「ああ、これはスキルだ。」
「そうなのか…マスターはさっきの不思議な魔法といいすごい人なのか?」
「そうでもないさ。一人ずつ治療するから順番に来てくれ。」
一人一人に”クリーン”、”パーフェクトヒール”、”パーフェクトキュア”をかけた。
”クリーン”は綺麗にはなるが匂いは落ちない。
『不便だなぁ…もっとこう…匂いの原因をきれいにするような感じで…”クリーン”』
すると、匂いが消え”リフレッシュ”の魔法を習得した。
「さっきまでの病気の苦しみがなくなった…!?ありがとうご主人様!!」
「オレは手足が動くようになったぞ…!!ありがとうマスター!!」
「わたくしも目が見えるように…!!ありがとうございます。ダグラス様…」
「治って良かった。」
皆涙を流して喜んだ。
3人とも落ち着き、緊張が解けてきたみたいだ。
「じゃあ三人とも、屋敷を案内するけどその前に一応お風呂に入ってきな。」
「お風呂…!!ありがとう!!」
「ありがとうマスター!!」
「ありがとうございますダグラス様。」
満足げな表情で、3人とも風呂から上がってきた。
「ダグラス様、お風呂ありがとうございました。」
「すごい気持ちよかったぞ!」
「いい湯でした。」
「それはよかった。ひと段落着いたところで今後の話をしてもいいか?」
「はい。」
「まず、俺は冒険者でみんなにはパーティーとして活動してもらいたい。
だが、まだ本調子ではないだろうからリハビリを兼ねて鍛えてほしい。」
「もちろんだ!」
「次に、俺はもっと強くなるために魔物をたくさん倒す必要がある。
だから3人とは別行動をとることも多くなるが許してほしい。」
「ダグラス様のお望みのままに。」
「最後に、これからも奴隷を買って治療し、大きな”クラン”を作ろうと思う。」
「ご主人様、質問いい?」
「どうしたサラ?」
「”クラン”って何するの?」
「ああ、それは大きな仲間の集団のようなものだ。
ある人は冒険者として、ある人は鍛冶屋として活動する…みたいな。」
「なるほどー!!1つの街みたいだね!」
「言われてみれば確かにそうだな。」
「3つとも了解しました。これからもよろしくお願いします、ダグラス様。」
「ああ、こちらこそよろしく。」
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