第25話 道のり

「メリルは何を売買してるんだ?」




「そうねぇ。色々あるけど一番力を入れてるのは魔道具かな。」




「へぇー…難しそう。」




「ええ…どれも高価だから一つでも仕入れに失敗したら金貨何枚~何十枚もの損失になるのよ…


だから見る目を鍛えなきゃね!」




「すごいな…メリルは将来世界に名を轟かす商人になりそうだね。」




「そ、そんなことないわよ。」




「そうかなぁ…?」




「そろそろ日が暮れてきたわね。今日はここら辺で野営しましょうか。」




「そうだな。」




街道から少し外れたところに馬車を停めた。




「ダグラスは携帯食持ってる?」




「ああ。家を出たときに家族にいっぱいもらったんだ。メリルは?」




「私はこれから作ろうかなって。」




「自炊するのか!」




「よかったらダグラスも食べる?」




「ああ、じゃあいただこうかな。」




メリルの料理はとてもおいしかった。


きっといい嫁になるだろう。




「じゃあそろそろ寝ようか。ちょっと待っててね。」




そう言ってメリルは荷台から魔道具を取ってきた。




「それは?」




「これは結界を張れる魔道具だよ!」




「すごいな…そんな便利な魔道具があるのか…」




「まあなんといっても”サンチェス魔法商店”のチェーン店だからね!」




「えっ…!?魔法関連の分野で世界を牛耳ってるあの”サンチェス魔法商店”?」




「そう、そのサンチェス魔法商店だよ!」




「そうなのか…じゃあメリルはすごい商人だったんだな!」




「そんなことないよ!…じゃあそろそろ寝ようか。」




「ああ。俺は見張りをするよ。」




「しなくていいよ。魔道具の結界のおかげで中には魔物も人も入れないからね!」




「すごいな…でも俺働かなさすぎじゃないか?」




「そんなことないよ。もともと私は昼の護衛を頼むつもりだったし。」




「そうか。お言葉に甘えて寝かせてもらうよ。」




しかし、その晩俺は胸騒ぎがして眠れなかった。




『魔力探知』




すると、結界の近くに4人の気配があった。




『盗賊か…?』




俺はばれないようにこっそりとそいつらのところに向かった。




「なあ、この馬車があの”サンチェス魔法商店”のって本当か?」




「情報通りならそうだ。」




「でもそれにしては見張りの一人もいないじゃないか。」




「確かに…なんか怪しいな。」




「なんでもいいさ。じゃあ行くぞ!って…ん?入れないぞ?」




「本当だ…何か透明なものにぶつかって入れない…」




「何かしら抜け道があるはずだ!探せ!」




魔道具の効果は本当のようだ。


おかげで安全なので俺は寝ることにした。




翌朝、起きると盗賊は消えていた。


結界内に入った痕跡がないので諦めて帰ったのだろう。




「あ、おはようダグラス!」




「おはようメリル、早いな。」




「うん!もうすぐ朝食できるから待っててね!」




「ありがとう!でもどうしてこんなに懇意にしてくれるの?」




「それはねーダグラスが将来有望株だからだよ!」




「…というと?」




「ラウラのお墨付きをもらうくらいだから、将来Sランク冒険者になりそうだなって。」




「まあ目指してはいるが…」




「だから今のうちに知り合っておこうかなと思って。」




「まあ俺もメリルと知り合えたのはよかったかな。これからメリルの魔道具が必要になってくると思うし。」




「ダグラスは王都に着いたらやっぱりダンジョンに潜るの?」




「ああ。自分の実力がどこまで通用するか試したいしな。」




「そっか!その時はぜひうちの魔道具を買ってね?」




「資金に余裕ができたらな。」




朝食を終え、魔道具を回収して出発した。




「メリル、止まって。」




「…どうしたの?」




「前方に10人盗賊がいる。どうする?」




「うーん…ここで待ってるから任せてもいいかな?」




「分かった。取り押さえて拘束した方がいいか?」




「うん。よろしく。」




「了解。」




俺は気配を殺して盗賊に近づき、次々気絶させた。


盗賊の頭は気配察知スキルを持っており、気づかれたが闇属性魔法”スリープ”で眠らせた。


土属性魔法”アースバインド”で身柄を拘束しメリルのもとへ連れて行った。




「早かったね。お疲れ様。」




「ありがとう。こいつらはどうする?」




「後ろの空いてる荷台のところに入れておいて。王都に着いたら憲兵に差し出すから。」




「分かった。」




その後何回か盗賊や魔物に襲われたが、全部返り討ちにした。


そしてついに王都に着いた。




問題なく門を抜け、盗賊の身柄を渡した。


盗賊の頭に金貨10枚の懸賞金がかかっていたようで、思わぬ報酬を得た。




「これで護衛の仕事は終わりよ。ありがとう。」




「そうか。こちらこそいろいろお世話になった。」




「また護衛やってくれる?」




「ああ、もちろん!」




「ありがとう!じゃあこれからもよろしくね!」




「ああ、こちらこそよろしく!」




いい繋がりを得られてよかった。


この調子でたくさんの人と繋がりを持てるように頑張りたい。

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