第16話 初めてのクエスト
俺はギルドについて、早速カウンターに向かった。
今度はきれいなお姉さんのところに行った。
「あの、すみません。」
「どうしたの?」
「冒険者の指南書ってありますか?」
「二階の資料室にあるよ。」
「ありがとうございます!」
俺は資料室に向かった。
そこにはおばさんの司書がいた。
「すみません。ここで資料を見たいんですけどいいですか?」
「ええ。でも、書き込みや切り取り、無断持ち出しはだめだよ。」
「はい。」
俺はフィオナ先生に教えてもらった通りまずは情報を集めることにした。
ここの周辺はイルク草原→ジェネス森林と広がっており、草原にはスライムが、森林にはゴブリンやウルフ、オークが出没するようだ。
Fランククエスト”薬草採取”の対象であるイーリス草は森林の浅い部分に生えるようだ。
『フィオナ先生に教わったより新しい情報とかはこれ以上ないな。』
そう思い、俺は資料室を出た。
カウンターに行き、Fランククエスト”スライム討伐”を引き受けた。
スライム10体の討伐で報酬は銭貨5枚と報酬は見合っていないのだが、最初のクエストなので危険度が一番低いと思われるこれを選んだ。
装備は家でもらった鉄の鎧一式、片手剣、盾、短剣×10本だ。
『流石にこの装備ならスライム相手でも大丈夫だろう…でも一応スキルHP変換でTPとMP合計10000をHPに変換しておこう。』
万全を期して俺は草原へ向かい、俺は初めて街の外へ出た。
そこは自然が豊かでいかにもファンタジーな世界という感じだった。
『魔力感知』
早速スライムを見つけるため索敵を行うと、少し離れたところに1匹いた。
『よし、初めての対魔物戦行きますか!』
そう意気込んで早速スライムのところに来た。
普通の青いスライムだ。
『鑑定』
スライム Lv.3
HP:35 MP:0 TP:0
固有スキル:物理耐性F
スライムは俺を見つけると、素早く突進してきた。
『思ったよりも早いな…』
盾で防ぎ、片手剣で丸見えの核を貫くとスライムはただのどろどろした液体になった。
すると、冒険者カードの討伐の欄にスライム×1と自動で表記された。
『なるほど…こんな感じか。』
そう思っていると、「ピロロン!」と知らない音が鳴った。
俺は音の原因が気になり、ステータスウィンドウを開くとレベルが2に上がっていた。
これはLvUP時の音らしい。
獲得経験値10倍のおかげでEXPを20獲得したようだ。
『鑑定&略奪』
この略奪スキルは鑑定スキルと同時に使うことで初めて真価を発揮する。
鑑定で相手のステータスを見て、固有スキル”物理耐性F”を略奪。
俺は初めて魔物からスキルを略奪した。
『物理耐性か…便利だな。よし、父さんとの約束でEランクまでしか昇格できないしとりあえずスライムを狩りまくって略奪しまくるか!』
スライム30匹目を狩ったとき、「ピロン!」という音が鳴った。
ステータスを確認してみると、スライムから計30回略奪した”物理耐性”がF→Eに上がっていた。
『魔物から略奪したスキルは同じものを一定数略奪することでスキルランクが上がるのか。』
そうこうしていると19時になり、俺は引き上げてギルドにクエストの報告へと向かった。
この時間帯は少し混んでいて列になっていた。
ようやく俺の番になり、ギルドカードを提出すると、カウンターのきれいなお姉さんが
「初日からスライム50匹も討伐したんですか!?」
「はい。」
「すごいね…スライム討伐のクエスト5回分達成だよ。でも頑張りすぎないように気を付けるんだよ?」
「はーい」
俺は報酬として銅貨2枚と銭貨5枚を手に入れた。
思ったよりも報告に時間がかかり、門限の21時が近づいてきたので俺は全速力で家に向かった。
時刻は20:54、
「なんとか間に合った…」
息を整えていると、
「おかえり。どうだった?」
と父さんが話しかけてきた。
「Fランクの”スライム討伐”の依頼を受けてをスライム50匹討伐したよ。」
「よく頑張ったな…ってちょっと待った。50匹も!?」
「うん!簡単だったしいい経験になったよ!」
「そっか…それはよかった!でも、頑張りすぎには気を付けてね?」
「うん。」
ギルド職員と全く同じことを言っていて少し笑ってしまった。
その後、家族と夕食をとった。
今日は成人してそれぞれ騎士団、魔法騎士団に所属したテュール兄さんとノンナ姉さんが帰ってきていた。
「今日はダグラスが冒険者登録して、なんと初日からスライム50匹も狩ったんだぞ!」
「えぇ…!?すごいな!」
「私も負けないように魔法騎士団でもっと頑張らなくっちゃ!」
と、俺の話題が多かった気がするが楽しく夕食を終えた。
父さんが自分のことのように俺の成績を話すのが、なんだか嬉しかった。
『初めてのクエストは大成功で終わってよかった。明日からは午前に訓練、午後に冒険者活動に励もう!』
俺は期待に胸を膨らませて寝た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます